霧177、電磁波136　射撃は当てにしないほうが良い？

・大型のエンジンを取り付け忘れる　しくじった
　→電子武器を使わない限り現状でも十分なのだが
・腕部のライセンス料が入った（微々たるものだが）5人購入？
・戦闘はあと1歩で大破寸前というところだった　橋の破壊には銃が安全
・クレイモアは弱い
・カタログからパーツを購入すること
　→大型のエンジン2つとブースター　ブースターはもう1つ欲しい
　　　（昨日も同じこと書いたような？）
・新兵14人
・僚機募集の呼び掛けを怠らないこと

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　夕飯にロール状のスシを買った。ペースト状の脂っぽい魚の赤身や細長くカットされた生野菜等が、冷たく湿った米飯とこれまた湿った黒い

物――海藻加工食品らしい――に巻かれている。噛み切りにくいが非常に美味しかった。今度は予め輪切り状になっているものを買おう、「エ

ホウマキ」なるものの在庫処分らしくどこにも切れ目が入っていないものばかりだったから。

　スシを食べ終わり部屋の硬いベッドに横になり、無機質な壁と天井を眺めしばし考える。今日の戦いはひどいものだった。パーツの換装ミス、

加速してもこちらの攻撃が届く間合いまで近寄れなかったし、おまけに何かが引火したせいかウグイスの装甲が殆ど溶け黒ずんでいた。これ

らのミスを踏まえ、今後繰り返さないためにはどうすればいいか。脳内で思考を巡らせる。

　出た結論。無理をしない。ただ、それだけのことだった。

　鞄から昨年買った安いタブレット端末を取り出し、ここのネットワーク回線に繋がるかチェックする……OK。「上」が配布しているカタログパー

ツのスペック一覧をダウンロードし、データを整形して端末内の表計算ソフトに読み込ませる。そのデータを元に簡単なウォーハイドラのアセン

ブリシミュレータを作成し、一通りウグイスのデータを入力したとこで大きく溜息をついた。
「ベティ、いるかい？」
　タイミングを見計らったかのように入る音声通信。応答。
「スティーブンか」
「もちろん。僕の名はスティーブン、生まれも育ちもラモラック社のAIさ」
　頼んでもいないのにし始めた自己紹介を聞き流しながらタブレットを弄る。声の主はスティーブンと名付けられた音声案内用人工知能。妙に

鼻につくというか、なんというか、何らかの台本があって、そこに書かれている台詞をわざとはっきり喋ってるような口調で話しかけてくる。
「自己紹介は頼んでもいないしいい加減もう聞き飽きた。で、要件は？」
「おおっと失礼！　度が過ぎてしまったよ。まずはヘデラの購入者が何人かいたから、いくらかライセンス料を入れておいたよ」
「確認済み。たった100cだけど」
「喜ばしいことじゃないかベティ！　1点の売り上げにつき20c送るシステムになっているから、5人の買い手がいたとも言い換えられるのではな

いかい？　僕は2セット以上腕部を取り付けた機体のデータは知らないから例外もいるかもしれないが」
「225÷5は」
「0.022222222……約2.2%」
「2.2%に買われたからってちっとも嬉しくないから」
　割合を出してしまえば影響力が小さかったことが嫌でもわかる。数字というものは時に正確であり、時に残酷なものだ。
「それに作ったのは私じゃなくてそっちでしょ。関わったのはコンセプトくらいだから8割方ラモラックの手柄と言っても過言ではない」
「わかった」
　仮設エンジンと取り替える予定のエンジンの番号をいくらか控えたところで、ブースターの欄を見る。逆関節乗りにとって跳躍力は重視したい

ところだ。
「それでベティ、次はこちらから質問したいんだが……またパーツを作る予定はあるのかい？」
「あるにはあるんだけど、素材が足りない」
「依頼達成報告と引き換えに受け取るか、毎日送られてくるのを待つかだっけ」
「うん。はぁ……噴霧ノズルと装甲板で何ができるんだよ」
　今日2回目のため息。
「他の既存パーツを溶かして再利用できなくもないけどさ」
「わかってるよ。けど作りたいのは武器なんだよね」
「なるほどね。じゃあ一応次作らなきゃいけないのは武器になるかも、って伝えとくよ」
　スティーブンがそう言い終わると同時に3つの数字を書いたメモを手にとり、シミュレータの画面を閉じた。
「ん。それじゃ新パーツの購入申請してからウグイスの様子を見てくる」
「いってらっしゃい。明日はうまくいくといいね」
「余計なお世話だ」
　――通信終了。
　たまにはAIではなく生身の人間とも話したいものだ。