魔道機獣

霧の戦場とはまた違う世界

魔法と科学が高度に融合したその世界では、魔道機獣と呼ばれる機体が戦場の花形として活躍していた。

魔道機獣は、魔法技術におけるゴーレムが科学技術と融合したものである。
擬似的な魂（と呼ばれるが、実際には情報集合体）を用いて石像や木造を動かすゴーレムの技術に、より高度にエネルギーを生かす機械技術、科学技術が上乗せされて発展してきた。
現在はほとんどが科学技術の産物であるが、主に動力や一部エネルギー変換部位、そして機体の制御系に魔法技術が使われている。

機体は何らかの生物を模して作られ、それに見合ったコア（先に出てきた擬似的な魂とエネルギー発生機構をかねたもの）を与えられて作製される。
比較的高度な技術、高いコストを必要としながら、常に戦場の花形としてあり続けるのには理由がある。
高い出力、柔軟な運用能力、換装のしやすさなどもあるが、最大の理由は、人員コストが少ないことにある。

本来、機械というものは戦車でも数人がかりで動かすものである。それに対して魔道機獣は格段に操縦者が少なくてすむ。
大抵の機体はたった一人で、何門もの巨大な砲や対空機銃を持つ機体でも、数人で動かすことも可能である。
ゴーレムの技術を応用し元となる生物の情報をコピーして用いているため、かなり自己判断能力が優れており、それが単純な操縦、指示で柔軟な行動を行うことを可能にしている。
多少パイロットとの相性の問題があるが、それは乗る人間を選ぶというデメリットレベルのものではなく、相性が会う相手なら能力が向上する、というプラスの意味でしかない。
そのため、戦場においてただの機械化部隊とは一線を画す活躍を見せる。
機械化部隊は量産に適しているというメリットがあるが、それでも戦場の花形は魔道機獣である。


現在、ソニアが操る「ボレアース」もその中の一体。分類としては超大型重装魔道機獣に分類される。ある帝国が当時の国の威信をかけて作製した機体。
作製されてから30年、圧倒的な武勲を誇り、帝国の国民からは北の守護神として親しまれ、敵国からは北の悪魔として恐れられた。
霧の戦場にいる現在は正規の整備は行えず、出力不足でその能力を十分に発揮できていない。