「……？」

僅かな違和感を覚え、青年のバーントイエローは顔を上げた。がらんとしたガレージが視界に飛び込んでくる。そして困惑の表情を浮かべて顔を上げている、二人の少女の姿をしたバーントイエローが見える。
青年のイエローは機体の側から立ち上がった。それと同時に残り二人のイエローも立ち上がって近づいてくるが、ロングヘアーのイエローだけが一瞬、動くのが遅れた。

「やはりか」

ぽつりと青年のイエローは呟いて、目の前に並ぶ二人のイエローを見比べる。
少女の姿をしたイエローは二人いる。ロングヘアーのイエローとツインテールのイエローだ。そのうち、ロングヘアーの方の行動にタイムラグがあるように感じたのだ。動かそうとすると若干の遅延も見られる。青年のイエローとツインテールのイエローに異常はない。ロングヘアーのイエローに対する通信だけに、何らかの遅れが発生しているように感じた。
と言うよりも。

（……これは、ジャミングされている？）

三体の端末は無線通信によってウォーハイドラ「バーントイエロー」と接続され、それぞれ情報の送受信を行っている。その通信を阻害されているような感覚がある。ただ、何によって阻害されているのかが探知できない。それらしい無線通信は、イエロー達の感覚機器には引っかかっていない。

「暫く様子見をするしかないか」

再度、青年のイエローで呟く。
何らかの邪魔が入っている以上警戒は必要だろうが、現時点でそこまでの不便は感じられない。それに、機体に乗り込んでしまえば有線接続になるから、戦闘中にジャミングで邪魔される事もないだろう。
それでも不便が発生するようなら、それはその時に対処すれば良い。一応、後で「国」にも報告と指示を請う旨をメールで送っておこう。
そう結論づけて、イエロー達はそれぞれの行動に戻っていった。



ごとん。

開く事の無いバーントイエローの操縦棺。
そこから人知れず重い音がしたが、三人のイエローは気がつかなかった。