ミッションは最近割と順調にこなせている気がする。これも先輩のおかげだ。あれやこれやとパーツを付けては外し付けては外しを繰り返したクトレットラは、すっかり最初の頃の形を失っていた。頭があって、腕があって―――そんな“よくある形”に無意識にこだわってしまうのは、やっぱりゲームやらアニメやら、影響を受けたロボットがみんなそんな形をしていたからかも知れない。でも、此処には様々な形のロボットがある。ロボット、ウォーハイドラが。
　腕を外して、装甲を厚くしてみる。脚を付け変えてみる。何処かいびつにも思える姿形になったクトレットラからは、それでも、確かな力強さを感じた。さあ、この後は拾った素材を使って何か作ろう。思うようにパーツは作れなくても、この作製という作業は不思議と私の気持ちを落ち着かせた。戦いに身を置いているという事実を、ほんの少しだけ忘れさせてくれた。もし、元の世界に帰れたら。そう考えることはしばらく止めていたけれど、今日だけは自分に許そう。もし元の世界に帰れたら、こうやって機械をいじる仕事に就くのも良いかもしれない。此処のように巨大な二足歩行のロボットが歩く日だって、そう遠くなかった。記憶の中の日本では。
　夜、桜の咲く夢を見る。そういえば春だった。残像領域にも桜はあるのだろうか。…


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（ノートにメモめいた走り書きがしてある。
　ハイドロエンジン、不安定な事象、ミスト・アヴェンジャー…）