ENo.0325　小夜啼鳥

クドラト様と約束シた以上、みすぼらシイこの姿も、多少なりともまともな姿にシなければイけなイ。

けれど、人の街を彷徨エど、
煌びやかな店を覗き見ても、

私に、相応シイ恰好など、見当たらズ。

途方に暮れる有り様でス。


「言イ付けを守れぬ、愚図な私めを、
　クドラト様はどウ裁イて下サる、でシょウか」


気を落とスけれど、同時に気持ちが昂るのは否定シよウもなイ事実なのが、困ったもので。

せめて、相談できる相手でも――



……嗚呼。アの酒場の、御方に聞イてみるのは、
厚かまシク思われる、でシょウか？

残像領域の端、無法者やハイドラライダーの集う酒場。
人の生き死にを賭けのタネに、今晩も乱痴気騒ぎが繰り広げられている。
合成アルコールと正体不明のジャーキーが売れ筋。
まともな人間は寄り付こうともしないだろう。

マスターと美女の会話を聞こうと、普段よりも少し静かになっている。盗み聞きというには、あまりにも堂々としているが……