ENo.0330　ルーチェ・アーミスト

静かで真っ暗な空間。恐怖はない。むしろどこか懐かしく、落ち着きさえ感じる。
スイッチを入れ、機体を起動。辺りが回路や機体のヘルス情報、ランプ等で照らされ、光が少女を包んだ。
ここはコクピットだ。
前回の霧戦争から約半年……。気付けば私は一人になっていた。
××××と××との最後の出撃も、どのようにして別れることになったのかも、いくつかの記憶が曖昧だ。
顔は思い出せても名前が思い出せない。
また一人、1から踏み出さなくてはならない。

「……大丈夫、約束したもんね。外の世界……果てまで一緒に行くって。一緒に知らない世界を見るんだって……」

機体の動かし方なら覚えている。必ず見つけなければならない人が居る。
顔を上げてメインカメラのスクリーンを確認。異常は無い。

「一人でもやれるよルーチェ……あなたはやればできる子……」

自分自身に言い聞かせ、アクセルを踏み、レバーを倒す。
ルーチェは再び霧の中の戦いへと身を投じた。

以前の霧戦争よりの記憶、友との再会を求めて