ENo.0316　C.I.A

――損傷率80％

――生存機能優先のため本体はスリープモードに移行します。

――以降はサブユニットS.C.Pによる生体反応感知モードに入ります。

――スリープモード・・・開始。



前霧戦争、敗北の地。
敗北者達のスクラップがあちらこちらに転がっている。
スクラップといえどパーツはパーツ、使えるものもいくつかあり、それを目当てに荒くれ者が稀に訪れていた。
そして一人・・・。


「あーあ、ひでぇ場所だな・・・っても金になるもんもまだいくつかあんだろ
　これはー・・・・・・使えねぇ。」


――生体反応確認。


「Pi・・・Pipipi」

「ア？」


空中に浮かぶ丸い物体。
来訪者はそれに目が惹かれた。


「自律型ユニットか？なんでこんなとこに・・・。
　いや、あれは高く売れるな」

「Pi・・・」


空中に浮かぶ丸い物体は来訪者の周りをぐるりと回り、離れたかと思うと、一定の距離を保ちふよふよと浮かんでいた。

「なんだ・・・？誘ってんのか？」


球体の後を追うように来訪者も歩いて行った。



――スリープモード解除。



球体の後を追うと、一つのガラクタがそこにあった。


「・・・・・・アンドロイド、こんなもんがまだ残ってたのか？
　でもさすがにもうぶっ壊れてんだろ。」


――アクセス。





「おはようございます。」

「うぉ！？なんだこいつ生きてんのか？
　アンドロイド、高く売れるな・・・。」

「登録を行いますか？」

「・・・・・・ああ。」

「承認を確認、声帯を登録。
　貴方を現マスターとして登録しました。

　――起動、開始。
　


　　――起動に失敗しました。
　　　　　システムの再起動を行います。」


「なんだ、やっぱ壊れてんのか？このポンコツが！！」

「――ERROR
　　　　　ERROR
　　　　　　ERROR」

「ア？！」


「――システム再起動中に問題が発生しました。

　――システムのリブートを行います。

　――SYSTEM ALL CLEAR

　――CHECK OK

　――CONNECT ・・・・・・OK

　――REBOOT START」





「おっ」

「YEAHHHHHHH！！！！HAAAAAAAAAA！！！！！

　おっはよーーーマスター！★
　あたし自立思考型索敵用アンドロイドC.I.Aデース！！★
　よっろしくー★」

「・・・・・・あ？」




これが彼とこのポンコツとの出会いであった。