今回はつつがなく戦闘が終わった。報奨金も多く、大戦果だと言ってもいいんじゃないかな……？
とはいえ、このお金はパーツの購入費やマニュアルの翻訳代に消えるだろう。
次の任務も近づいているわけだし、のんびりしている場合じゃない。
整備のことについて、レヨンさんに聞こうと思っていることもたくさんある。

僕は最近まで、勘違いしていたことが一つある。
新たな発見、という言い方もできるかもね。
僕のお父さんはいわゆる英雄だといわれている。エースライダーと言えば? という話をすると誰かが必ず口にしたほどだ。
だからきっと、父というのは一度も撃墜されないすごい存在なんだと思っていた。
だけどこの前敗戦して僕が落ち込んでいるとき、上官はひとつ、父についての昔話をしてくれた。

「君の父も若いころは、たびたび機体を損傷させてはリストアしていた。それも、敵陣のど真ん中で乗り捨ててくるものだから、資源もイチからだ。経理泣かせのライダーだったよ」

そう言われてみると、僕の機体はお姉ちゃんの昔使っていた機体をベースに改造しているものだけど、父が過去に使っていたパーツ、というものはお姉ちゃんも僕も、一度も見たことがなかった。

「自分の限界を知り、その限界まで敵と交戦し最大の戦果を上げ、必ず生き残る。それが君の父『影縫いの鷹』だ。鷹は空へ舞い戻ってこそ、価値がある。だから、ロロイル君。生き残りなさい。しぶとくな」

上官の話は、ぼくの"エースライダー像"をガラリと変えたうえで、さらに磨きをかけて、輝かせた。