ENo.0237　シグン

エンジンの音、操縦棺に伝わる振動。かれは、目を覚まして外に這い出た。
トラックが来たらしい。

どすん、どすんと大きな音で木箱が積まれる。かれは舞い上がる土埃を避けるように、離れたところで様子を伺っていた。

中身は購入したパーツらしい。

マーケットで客として扱われない大きさのかれだ。パーツなど到底運べるものではない。
配送してもらえるのは実に有難い。通販で無事パーツが届いただけでも、かれは満足していた。

この後はハイドラにパーツを取り付けて、調子を見たら戦場がかれを待っている。
かれは慌てた。
誰がパーツを取り付けるのだ？

配達スタッフがハイドラに近づく。
「今、操縦棺に入ってないですよね？じゃあ、パーツ付け替えしますんで」
配達スタッフは操縦棺をのぞき込む。狭いっすね、と軽口を言いながら新しいパーツがハイドラに付け替えられていった。

「取り付け個所は、ご注文の通りです。それじゃ、またよろしくお願いします」
かれのライセンスカードが翳されると何もかもの手続きが終わったようだった。
きっと購入手続きもそうだったのだろう。

とにかく戦場へ行く準備だ。
彼はいそいそと腕をつたって、ハイドラに乗り込んだ。