ENo.0323　第306特殊試験部隊

我々がこれまで停戦中の都市国家に行ってきた活動は
その周辺に点在する集落ともいえない人のコミュニティへの攻撃が含まれていた。
それらは全て中佐の指示であり、中佐の思惑の通り
現在その多くの生き残りは都市国家へ庇護を求めるように身を寄せ合うように集まり
膨れて行った。

我々は今、その都市国家を囲うが如く蓑のように膨れた者たちへ
操縦棺内から引き金を引いた。
夜を切り裂く光のように火線が何度か点在させるように描かれる。
威嚇のような、警告のようなものでもない。
文字通り着膨れした蓑に火を放つように。

都市国家エルコとその周囲は警報もかき鳴らされ
混乱と炎と人で渦巻く沼底を生み出していた。
都市国家エルコは高い周壁で囲まれた防衛都市だ。
キルガールが今一歩というところで落としきれなかったのは攻めることの出来ない堅牢な壁にある。

中佐からの指示は２つだけだった。
合図があれば難民に向けて撃ち込むこと。
そして周壁の門が開けばそこから出てきた敵ＷＨへ向けて攻撃を開始することだけだった。

最初の指示を果たし、そして次の指示のシチュエーションを待つ。
其れはすぐだった。門が開き、エルコの防衛隊ＷＨが出てくる。
照準を定め引き金に指をかける。
敵ＷＨの動きが止まるように震えた。何がと確認する前に放つ。

開かれた門へは難民が一斉に集まっていた。
ＷＨはその人間を踏み、ひき潰し、巻き込み、止まったのだ。
それでも難民は門の中に入り込んでいく。
破壊され、炎上しているウォーハイドラを乗り越えて…

轟音が響く。
重い機体を重装ブースターで飛ばす…中佐のウォーハイドラだ。
壁を破砕しながら、壁を駆け上がるのが見えた。

中佐は何をなさるのですか、との問いに返ってきた答えは短い。

「城壁を超えて内部から破壊する。このウォーハイドラでな。
　貴様らに下す命令は一つ。全ての者を抹殺しろ。一人も逃すな。指揮はお前が執れ」

城壁を上りきった中佐の大型ウォーハイドラが防衛用に出撃したＷＨを
叩き落とし、砲台を破壊していく。
丁寧にそぎ落としていくかのように。

我々は中佐の命令の通り……一人も逃さぬように
開かれた城門へ向けての射撃、その城門を超えるように砲撃を続けていく。
中佐が破壊していくのを城壁越しに見通しながら…
エルコの住民、防衛軍、そして難民誰一人を逃さぬように…

夜が明けて、中佐のウォーハイドラが中から出てくる
そのときまで我々は殲滅戦を続けた……

我々アフラムインダシトリィは
城塞都市キルガールを拠点にする企業ユニオンです。
歴史は古く自由都市時代からの重工業産業の組合を基としており
現在は軍需重工業に切り替えてキルガールの防衛軍受注を中心に生産を行っています。
当領域等には現地での需要調査、およびウォーハイドラパーツの研究開発試験
並びに販売を目的として今回は参入させていただいております。
どうぞよろしく。

■今回のお知らせ。　[第１１週]
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
現在大変申し訳ありませんが近隣の都市国家へ本社移転の準備中です。
それに伴いユニオンでの研究活動は続けておりますが
販売事業につきましては一時中断とさせていただきます。
お客様には大変ご迷惑をおかけしますが近日中に営業を再開させていただきます。
尚、製品のサポートにつきましては継続して行っておりますので
何かありましたら下記までお手数ですがご連絡を……