ENo.0059　Dalince=Orban

本社からやけに改まって届いた手紙を開封してすぐ、目につく文字があった。
『解雇予告通知書』
曰く、業績悪化による人員削減の対象となったらしい。日付は届いた段階で既に過ぎている。

「……はは」
内心、「とうとう来たか」と思うばかりであった。
入社して二十年弱、その殆どは「裏」の分野で公にできない仕事を請け負ってきた。時には社内製品のみならず自身の肉体をも使い、ノルマを達成しようと必死だった日々が懐かしい。
22でいわゆる「表」の営業部に転属となり、それまでとはまるで違う業務に悪戦苦闘しつつキャリアを重ねた。実質的な左遷だとは知っていたが、それでも諦めたくはなかった。
26。店を得て、部下も得て、ついでに告白されて……はみ出し者には過ぎた幸せを得た。首を切られてなお、首を切られなかったことも幸運に思うべきなのだろう。

店舗の引き払いと自身の解雇、残ったのはずっと一緒に走り続けた『掃除機』とそのオプショナルパーツたち、そして幾多ものガラクタ。
当然、未来は見えていない。だが、それでも私は進むほかな
いのだ。

――全力で、足掻いてやる。

霧に包まれた戦場の一角、ぽつんと佇む廃墟が一つ。
看板の文字と建物の構造から、元は電器店だったようだ。
店員の存在はなく、内装もすっかり荒れてはいたものの、奇跡的に電源をはじめとするインフラは無事。
今は別世界から迷い込んだ店員が常駐し、営業もしているらしい。
なお客足はあまりない模様。

※家電量販店系ユニオンです。
ハイドラのコンセプトがどちらかと言うとネタ方面に振れている方を推奨します(もちろんそれ以外の方でも大丈夫です)。

活動は展示品試運転(制御)2、アフターサービス(整備)2、トラブル対応(反応)1、購入は入荷(素材追加。現在停止中)。
電器屋の建前ですが毎回のようにマーケットに出品する義務はありません。