ENo.0261　不破　源蔵

彼は死に場所を求めていた──


五年前に、残像領域を覆っていた霧は晴れた。
なんでもハイドラ大隊が大きなことを成し遂げたらしいが……
それは格闘機の、そして、不破刀剣工房の衰退を意味していた。

当たり前だ。
誰が視界の開けた場所で、銃に対して刀で立ち向かおうなどと考えるのか。

ハイドラ大隊の成し遂げた偉業は、源蔵にとって苦境をもたらした。



源蔵の息子も、ハイドラライダーだった。

ライダーのライセンスが届いた時は
「俺がこの工房の刀剣を使って活躍すれば、いい宣伝になるさ」
と息巻いて胸を張り、戦場への意気込みを語っていた。


その息子は、たった2回の出撃で帰らぬ人となった。
先に語った偉業における名誉の戦死などではなく、
もっと小さな──ゲリラの鎮圧という些細なはずの──任務での戦死だった。

ハイドラライダーは憧れの職業などではなく、源蔵にとって憎悪の対象だった。



しかし、彼は再び発生した霧の話を聞くや否や
息子の遺したライセンスを再登録し、ハイドラに乗り込んだ。
刀を打つことではなく、敵を討つことを決めた。

「うちの刀を売り込むためだ」
かつて息子が遺したような言葉を残し、戦場に向かった。



──誰の目から見ても、彼は死に場所を求めていた。

各種刀剣類、製造請け負います。