ENo.0330　ルーチェ・アーミスト

一体なんのブランクか。
否、皆がそうだったのだろう。
けたたましい銃撃、機械の軋む音。
悲鳴、そして次々とレーダーから消失する味方機。
私すら、『他の機体よりは持った』という程度で、ほとんど戦果を挙げること無く墜とされ、緊急脱出を余儀なくされた。
以前、戦闘に迷いが生じて撃墜されたことがある。
その時とは違い、今回は躊躇も迷いも一切無かったはずだったのだ。

「機体の性能不足......。即席のパーツばかりでロクに索敵機能も無いのに探知役に回ったのがそもそもの間違い......」

ブツブツとマーケットと今の機体を照らし合わせながら、眉間にシワを寄せる。
如何せん必要なものは多いが購入できるものや作製が出来るものは限られている。

「とにかく、前みたいにセイランからの助言は無い......自分で考えて模索して、まずは戦果よりも墜ちずに戻ってくること！始まったばっかりなんだから焦っちゃダメだ」

マーケットの購入予約欄に、まずは索敵を底上げ出来るようレーダーや頭部カメラを突っこみ、落ちるであろう機動性能を新たなパーツの製作で補うこととした。

「火力は出せないけど仲間と協力すればきっと大丈夫！それにカメラがクリアになれば......」

ひょっこりとユメやセイランを見つけられるかもしれない。
皮算用ではあるが、また彼女達に会いたい。
そしてそのための努力は惜しまないつもりだった。

「大丈夫、必ずまた会えるから」

再び自身の機体を仰ぎ、自分への暗示とも、側に居ないかつての友への言葉とも取れるものを呟いた。
......そう、この霧にまみれた戦争はまだ始まったばかりなのだから。

以前の霧戦争よりの記憶、友との再会を求めて