ENo.0382　トレーニィ

別にレニは、死に急ぎたいわけじゃない。
しわしわのお婆ちゃんになって、お爺ちゃんより長く生きて、
出来れば幸せで苦しくなくて痛くない、そんな死を迎えたい。

なのにこの艦に乗る一部の人たちと来たら。

「合理的だと思うがね。
　いちいち死体の回収などする必要もない、死ねばそのままハイドラが棺桶になってくれるんだ。
　使い捨ての駒であるハイドラライダーにはお似合いだろう」

まだ短い付き合いだから良くは分かってないけれど、ダイナさんは結構リアリストで職務に忠実だ。
もう少しサボったって良いし、保身に走っても良いんじゃないかと思うのに。
組織的には優柔な人材なんだろうけど、可愛い後輩としては、なんていうかこう非常に、もにゃる。
そんな人が操縦『棺』を核とする機体で戦場に向かうと言うのだから、もう本当、気が気でない。

案の定機体の仕様書は尖りに尖ってるし。
こっちが可愛く駄々をこねても効かない頑固者だし。

だから、付いていく事にした。

「戦場に立つ上での心構えというやつは正直わかりませんが、
　レニにはあなたの命の担い手としての責任があります。
　あなたが任務を優先するのなら、レニだってそうするまでです」

死に急ぎたいわけじゃなくて、
ただレニは、悔いのない技師でありたい。
出来ればレニだけじゃなくて、レニが知ってる人にだって、
幸せで苦しくなくて痛くない、そんな死を迎えて欲しい。

壊しても、時に殺めることがあっても、
その『力』は全て、守るために。
それが技師としてのレニの願いだから。



通信　霊障　濃霧
波数　タルス曲線　暗号転換　HCSとの互換性　信号の同期化

上官の説得法　虚偽じゃ駄目かなあ

（以下、走り書きが続き。）

色々なものが、あちこちばらばら転がっている。
どこに何があるか、部屋の主は把握している、らしい。