ENo.0447　失楽の『メシア』

どうして生きていられたのか。

私はライダーである前に、生体兵器である。
ライダーになる前は、培養槽の中で過ごしてきたのだ。
鉄檻の派閥は、今回『メシア』の死によって全ての終わりを悟ったのか、コロッセオから手を引いていた。

蘇生は要らないと言ったはずだが、待っている者が居ると言われ、私はこの世に戻ってきた。

無論、こんな短期間で全身の再生は出来ない。髪は焼け焦げ、右目は潰れ、腹部損傷も回復に至らない。

蘇生の代償として、コロッセオから追放された。
一度死んでいるのだから当然だし、ランク争いにはもう興味がない。下から這い上がる程の根性はないし、今まで積み上げてきたこの差を取り返せるわけもないと分かっているからだ。
何より、自分と戦うのは真っ平御免である。

だけど、戦いを失った私の生きる意味が、分からない。
私は、かのコロッセオに憧れてライダーになったのだから。
そんな私は、これからどうすればいいのだろう。

退出前に部屋に残されていたある届け物。

待っている人と言うのは、これの差出人なのだろうか。

……しかし、これを見たからには私は、戦い続けるしかない。私はメシア。しかし、鉄檻の『メシア』は死んだ。
その残像は私にも見えている。私は一度死んでいる。この身体は再生したものと言えど、もう『メシア』ではないのだ。

本格的に戦う気は起きない。
表舞台から一度姿を消せば、二度と光を浴びることがないということも分かっている。
前の私であれば、それは待ちわびていたものなのかもしれない。
面白みの薄い、ただ二人が争うようなコロッセオランクの争いは終わりを告げたのだから。
私の内なる炎はもう二度と燃えないだろう。あれほどの高揚感に勝るものを得られるとは思っていない。

それでも。

失意の私に、誰が生きている事を知らせたのか一件の依頼が舞い込んできた。

私には、やる事はない。

だから、そういう事はどうでもいい。
もう何も考えなくてもいい。

ここからが新しい『メシア』の歩み。

機体である『レヴィアタン』は、何故か私の下へ戻ってきていた。あれだけの損傷もまるで何ともないようだった。
あれの持ち主は私ではないのだけども。

認めてくれたのだろうか。それとも、意志なのか。

どちらにせよ。

ここからが本当の戦いだ。

Cafe ＆ Maintenance Mer-Millia

巨大樹木の中から、機械の大百足を探せば良い。
その樹の足元に、腕のいい整備士――あるいは料理人のいる店があるのだ。

カフェ＆メンテナンス『メル・ミリア』は、今日も密やかに営業を続けている。
禁忌戦争を生き抜き、霧とともに消えたとされたハイドラ大隊から戻ってきたと噂されている店主は、もはや多くを語らない。ただ、樹木に絡みつくように“眠っている”機械の大百足は、その時の店主のウォーハイドラだとされる。
時々たまに、思い出したように起き上がって、生きているかのように周りを歩き回るのだという。だから、この辺の木の根は金属の多脚にずたずたにされてしまって、あまり真っ当には育たないんだそうだ。店主はそう言って笑っていた。

今日のおすすめは、禁忌戦争で破壊されたと言われる要塞のひとつを模した店主手作りのケーキ。

！店および店主（ENo.7サブ）の既知可　4期既知（ENo.4）も可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/decoherence/union.html

（整備極ユニオンです。購入はユニオン主の独断。）