周囲を少しずつめぐっていた、マーティとシェリー。
そんなさなか、何かを起こしそうな未知の機体が
付近の様子を眺めているのを、ふたりもまた、発見していたのであった。



「どうにも、怪しそうだったねえ。」
去っていった未知の機体について、そんな感想をもらす、マーティ。

遭遇した状況に見合わない言葉をささやきながら、
何らかの行動を起こすための出力蓄積をしていたような姿。

それはあまりに、状況に対して過剰な何かのように思えて、
異変を起こす側、あるいは迎え撃つ側なのではないかと、気にかかるのであった。



「わたしにも、穏やかには思えなかったわ。」
めずらしく、そんなことを言ってみてる、シェリー。

いつもみている霧のながれと、なんだかちょっとちがう、なにかは、
不安になるほうに、ふしぎなながれだったように、思えたから。

それが、気のせいだったらいいなって、思いながら、
やっぱり不安な気持ちは、そのままのこるのでした。



「・・・話は伝わってきたけれど、やっかいだねえ。」
マーティの元に届いた、未知の機体に関する情報。
不安が的中したと言うべきか、あるいは隠された何かがあるのか、
相手は各地で騒ぎを起こしているということが、ふたりの元にも届いてきていた。

少なくとも、この相手を放置していては、
これからどこかに行くにしても、平穏とは言いがたい事態になる。
そう考えると、マーティにとっても、騒ぎを鎮めるために
何かはする必要があるのは、否定できないことであった。



「こんなときは・・・がんばってみるのよね？」
ふたりが出会ったときを思い出して、声に出してみるシェリー。

こんなときは、できることをして、
ちょっとだけ、誰かをたすけてみちゃう。
それがマーティだって思っているから。

シェリーをたすけてくれた、そんなときほどじゃ、なくても。




そして、ふたりは歩き出す。
いまだ未完成の機体を駆り、完成の見込みなんてない、道のりに向けて。

ここで機体が傷つくことがあったとしても、
立て直して再び進み始めるのは、ふたりの進みかただろうから。

それはいつか、ともに歩む者が増えたとしても。


「そろそろ、出番だねえ・・・準備はいい？」
「わたしも平気・・・いっしょに行けるよ。」