（砂嵐画面。サーーーーーという雨に似た音。
　パシ、パシ、と、横一文字の波が走り、画面の焦点が合う。
　長い髪を三つ編みにまとめた、三十前後の女の顔。座った椅子の向こうは薄暗く、ところどころの照明に、大きな機械が浮かび上がる）

　ハロー、あゆり。
　戦闘記録、見たよ。しっかり見た。
　そうねえ、何から言おうかな。
　よし、じゃあ、わたしからのミッション、もう一つ追加する。
　そっちで頼りにできる人を見つけること。
　ベテランの傭兵なり、整備士なり、探して、積極的にアタックすんの。
　見つかるか心配かな？　でも案外なんとかなると思うんだよねえ。
　デキる奴って、お金にも時間にも全然困ってないわけ。そうするとねえ、なんていうのかなあ、趣味に走り出すんだよね。
　ま、とりあえず当たってみ。ヤバそうだと思ったら連絡打ち切っちゃえばそれで大体へーきだから。

　……わたしが心配してんのはね、あゆりが凹んで自信を失くすこと。
　才能が無いなんてのは全然大したことじゃない。才能ゼロでも戦場で生き残って、さんざん稼いでゆうゆう引退していく奴なんていくらでも見てきたんだから。
　でも、自分を信じきれなかったやつは、そう遠くないうちに消えていく。
　あゆりにはそうなってほしくないの。
　それにわたしは、あゆりに才能が無いなんて、これっぽっちも思ってないんだからさ。

　とりあえず今回はこんなところかな。
　色々考えちゃって寝れないときは体を動かすのが一番いいよ。
　あと美味しいものを食べる！
　はい、じゃ、またね。