『手記①』
俺たちゃ傭兵ギルドでも中堅だったがよ、野望はきちんとあったんだ。でっかくなりてぇ。
そのためにはもっと強い力が必要なのだ。
そんな時に話を持ってきたのがあの博士だった。
博士曰く「ミストエンジンに代わる新たなエンジンを発明すれば、更に協力なハイドラを提供できる」
俺たちゃその言葉を信じて、金と人を用意したさ。
だが、博士はそれを湯水の如く使うばかりで、ちっとも成果をあげやしねえ。
とうとう契約期間が尾わっ地まったが、何にもできなかった。
それでこっちがちょっと脅したら、博士も気がちかったんだろうよ。
俺たちの仲間で動けなくなったやつらを実験台にしやがった。
そりゃ許せんかったから、博士を捕まえようとしたが、もうどこにもいなかったさ。
何もかも持ち逃げされてしまったってわけよ。

後から知った話じゃあ、博士はあのボストン商会に匿われて研究を続けてたらしい。
よりもよってそこで俺たちの仲間の命とひっかえに新しいエンジンを完成させて、新しい機体に載っけて実験まで。

どうでもいい話だが、あそこの代表のボストン＝ホルストって爺さんは、俺たちのゲストだったことがあった。
爺さんは昔偉いハイドラ乗りで、事故って前線を離れた後は、ずっとハイドラを作ってたらしい。
その名も＜メキボスシリーズ＞。
シリーズっつってもほとんどハンドメイドだったから、限られた数しかでまわんなかったが
なんかすっげえ変なやつだったから、白兵に新しい風を吹き込んだとかいわれってったらしい。
最近はすっかり時代遅れだからって、誰も知らないレベルまで落ちこんじまったが
まだ諦めてなかったんだな、あの爺さんは。
あ、もっとどうでもいいが、あそこには実験部隊ってのもいて、そいつらがまたキレッキレなやつらばっかりだって噂は知ってるなあ。
確か＜デイレイゾ＞とかなんとか。聞きなれない言葉だったなあ。

まあ話を戻すと、俺たちと繋がりがあってわかりにくいところに博士は逃げて、その先でのうのうと実験をしやがってたんだ。
そんな時さ、あの＜戦争屋＞どもが、さっきの情報と共に話を持ち込んで来たのは。
どうやら＜戦争屋＞どもは、ボストン商会を相当危険視しているみたいでな、新型のエンジンもハイドラも何もかも抹殺したいってさ。
その意向に乗るなら、ドンパチする金と弾はやつら持ちの上、世間の目もごまかしてくれるときた。
当然鬱憤を晴らすために、俺たちゃこれにのったよ。
だから表向きは地方テロリストの鎮圧ってわけよ。

ちんけな商会を潰すには圧倒的すぎる物量と火力で、商会の拠点は何もかもぶっ潰した。
実験部隊とやらもそれで踏み潰したから、作戦は成功だと思ったが、＜戦争屋＞どもの顔色は悪かった。
例の博士1人と実験機体1体の生死だけが、確認できなかったんだってさ。
＜戦争屋＞どもはすぐさま網を張ったけども、しばらく音沙汰は無かった。

そんな時に、変な報告が入ったんだ。
とあるギルドに謀反者が出て、それを追った部隊が霧の中で謎の機体に遭遇したが
そいつらはまるごと霧に飲み込まれて消えたって話さ。
生き残りのカメラに移ったシルエットを見て＜戦争屋＞どもは確信したらしい。
実験機体は＜メキボス＞の流れを汲んだ設計から＜フォボス＞と呼ばれてたんだと。
こいつを破壊しない限り＜戦争屋＞どもは枕を高くして眠れんらしい。

その後もずっと網を張り続けた結果、とうとうその機体が地方の郊外に現れたという通信が来た。
俺たちがちょうど作戦行動中で近いからってこき使われるのは納得いかねえが、博士をぶち壊せるなら仕方がねえ。
たかだか1体に一個中隊はやりすぎだとは思うがな。

今後こそあの悪魔を滅ぼしてやるぞ。
俺たちはヒーローなんだ。いっちょこの世に平和をもたらしてやるか。