ENo.0208　アズナヴィール・ウスイ

【紙面は至って平坦だが、たくさんのメモを取った名残がある】

コルボさんは目を離すと、いつの間にか女性に声をかけています。
せめて、私が見て無いところでやってくだされば良いのですが。
…見てないところでそれをされる想像をすると、やっぱり嫉妬しちゃうのですけども。
遊んできた時の香りが露骨に違うと、流石の私も察してしまいます。頻度は、大分減ってはいますが。

そういう自由な振る舞いをする人だから、惹かれてしまったのか。

別の理由があるのか、今となっては自分でもよく分かりません。
あの人の言葉に押されて、コルボさんの足跡を追ったこともあるというのに。
ただ、好きなんだと。そう思う事にしてます。理由を考え始めると、夜が明けてしまいそうで。

私は。
わたしは。

初めて会った時からずっと、私はコルボさんに迷惑をかけてばかりいます。
今もそうです。落ち込み気味で――そう、落ち込み気味……ふとした事で、泣いてしまうから。

まだしばらく続いてしまうのでしょうね。
キッパリと、切り分けが出来る性格でもなくて。
作業をしている時と、誰かと喋っている時は忘れられるのですけれど。

コルボさんは、とても優しいので、
私が泣いてばかりいるから、呆れられていないかと――彼の背に投げかけたくなる時もあります。

でもきっと、私の何かに見切りをつけたときは、
あの人なら、そっと静かに姿を消す気がして。

彼は今でも闇夜の鴉であることに変わりはないと思っています。
本気で翼を広げられたら、私の網にも引っかからないかもしれない。
そうならないようにコルボさんを繋ぎとめるだけの度量が、あると良いのですが。


【自分の思考をまとめる言葉が、数ページにわたって続く】

【途中から惚気になっているのに気づいたのか、赤いペンで塗りつぶしてある】


Thisさん、たんこぶを作ってらっしゃいました。
ブラックウッドさん…の拳ではなさそうです。そういう雰囲気ではなさそうでしたし。
あの方も辛辣なようで優しかったり、ちょっと不思議な人ですね。
重火器を両手に持つ姿は鬼神のようですが。

そのうち、エマージェンシーバッグとまではいきませんが…
ジェルパックや洗浄液をまとめた物を、Thisさんに渡しておきましょう。
ずんだ餡のレシピも検索して――枝豆って売ってるんですかね、この世界。

枝豆で思い出すのもおかしい気がしますが、あの背の高いギークさんは元気にしているのでしょうか。
マグロ。なぜ、マグロが蔑称なのでしょう…。



【買い物の留め書きが書いてある】



【品物の名称が並んでいる】






【瓶ビールを一つ】








【最後に、それだけが無機質な文字で書かれていた】
　

本部を置く国以外にも正式に認可を受けて活動するボランティアを主軸にした所謂、NPO団体。

主目的は紛争地域や貧困国に対する人道支援全般。
カトリック系？の様式を基にした宗教法人でもあり、各先進国、企業からの寄付で経営されているとてもクリーンな組織。

こういった団体は数も多いため、活動内容や規模的には目立ったもので世界的な知名度はさほどでも無い。
しかし、危険度の高い地域にも積極的に参加するため、業界関係者の中では知っている人も居る、といった程度。

経営の主要層が広報活動に熱心ではないのもそれに一役買っているそうな。
なお、ボランティア以外にもそれを支える子会社も複数、所有されている。



現地での自衛のための戦闘力として自前の軍事部門や傭兵隊を組織している。

いささか過剰気味では？という批判もないではないが……

他世界における危険というものは予想がし辛いこともあり、身内、あるいは保護対象に被害が出るよりはずっとマシであるという考えに基いて戦力を保持し続けている。

非武装、非暴力主義などという寝言では、現実では誰も救われはしないのだ。