ENo.0245　クリス・バーミリオン

ガーレジの中。私は操縦棺の座席を倒し、ぼんやりと寝そべっている。
別に今日は仕事があるわけではない。ただここに居るだけだ。

ハイドラライダーのライセンスカードを掲げる。
私は２枚のカードをぼんやりと眺めている。

私はカードを２枚持っている。

１つは、血生臭い方法で奪ったモノだ。相手の事は興味も無い。
１つは、かつての戦場でのパートナーのモノだ。


～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～


「なぁお姉さん。アンタ、ハイドラ乗ってるだろ？　ちょっと話イイかな？」

私は一瞥睨みつけて無視した。

それが彼との出会いだった。

正確に言えば、戦場でモタついてる同業が居たから通信で情報を送ってやったのが初遭遇。
そのとき私に興味を持ったとか。正直言うと、余計な事をして目を付けられたと後悔していた。

背が低く童顔でいかにも子供ですって風貌だ。
子供でもライセンスさえあればハイドラには乗れる。そういうクソガキだと思った。
煤けたジャケットに身を包んだ、この街のどこにでも居そうな感じの男。
童顔でスマートな整った顔立ちが、小汚い路地裏の溜り場から浮いてる。

なお実際は年上だったようで。チョット信じられませんね。今でもウソ付かれた思ってる。

初めは肩をすくめて諦めてくれたが、二度三度と街や戦場で顔を合わせるうちに
ついつい私も声を返すようになっていった。してやられた感はある。

どうも戦場での相棒を探しているとか。
機動力も戦闘力も無い特殊装備の実験機で、専属のサポーターが欲しいそうで。
つまり物好きの道楽のお守りをしろと。私は冷たくお断りし続けた。

だが相棒になるかは別として、オフの日は大概暇なので彼を話し相手に過ごすようになった。



あるとき彼が酒を持ってきた。キレイな茶色い酒だ。(彼曰く琥珀色って言うらしい)
私はまだ彼を信用してなかった。酔わせられると何をされるか分からない。
あと薬でも入ってるかもしれない。私は彼に自分が先に飲めと言ってやった。

ショットで一杯やりやがった。お前がガッツリ飲むのかよ…
酒には強いのだろうか？　飲み比べでこっちを潰す気かもしれない。気は抜けない。


おっと。彼が先に酔い潰れてしまった。なんで？

流石にこのパターンは考えてなかった。どうするか少し悩む。
放置しても良かったのだが。私は彼を抱えて近場の宿に連れて行った。
そして部屋を借りて彼をベッドに放り込む。これで死ぬことは無いだろう。
私は駄賃代わりに彼のサイフから金を抜いた。ハイドラの仕事１回分くらいはありそうだった。
ベッドで大の字になってる彼の寝顔は安らかだった。こんなので良く今まで生きてこれたもんだ。
しかしイイ寝顔だ。強いて言えば。もっと背が高くて線が細い人が好みなんだけども。


良くないな。これ以上一緒に居るのはダメだと思った。私は宿を後にした。

２日後。良く行く飯屋で彼と出会った。色々あり過ぎて複雑な気持ちになっていく。
金を抜いたことは何も言ってこなかった。逆に気持ち悪い。
むしろ、宿に連れて行ってくれた礼がしたいと。ますます気持ち悪い。
なに？　バディにしてやる？　いつもと同じ話じゃねーか！


結局彼と僚機契約を結ぶことにした。なんだかズルズルと泥沼に引き込まれている気持ちだ。
仕事以外のプライベートでも一緒に行動することが多くなっていった。

１から始める培養装置！
整備技術の勉強に特化した研究ユニオンだよ。
エンジンの研究とかも副業でやるつもり！

※本ユニオンは毎回、整備を５振りです。
※ユニオン購入は経験値＋１固定。整備の高みを目指します。
※10～15更新くらいから死亡許容にすると思います。しばらくは死亡失踪の心配は無いです。