ENo.0316　リビー・ニエロ

　
【ライダーを確認、スキャン開始。――、――ステータス、バイタル、オールグリーン。接続を開始します】

MRパネルにそう表示された瞬間、黒金乱眼がリビーに侵食を始める。
慣れた感覚だ。それでも無意識に歯を食い縛る。耐える。目を閉じることはしない。その眼球さえぬるりと何かに覆われる感触で、処理が完了したことを察した。ほんの数秒のことだが、毎回この時間は異様に長く感じる。
しかし接続さえ完了してしまえば、あとはリビーと黒金乱眼の時間だ。

「うえーい！　いくぜー！！！」

リビーが雄叫びをあげると、黒金乱眼の体表に光の軌跡が走り抜けた。
黒い機体に這う金銀の線描は内部エネルギーの波で自在にその紋様を描き変える。蔓草は繁茂し走査線はグラデーション。イオンの波が蛇行し煌き、背に触手を八本展開させた鈍色の機体に華を添える。
操縦棺の中のコックピットで、リビーは這い上がってくる高揚感に身を震わせる。炸裂する意思と研ぎ澄まされた操縦を、刹那のタイムラグもなく受け止めて疾駆する機体。

黒金乱眼。

今はウォーハイドラと呼ばれている、高機動騎兵艦。
リビーの、リビーだけの、高機動騎兵艦。

リビーにしか機動させられない。
なぜならリビーにしか耐えられなかった。

リビーが黒金乱眼のものであるように、黒金乱眼もリビーのものだった。

たった一つ残った命綱。
あの人へ通じる細い糸。

長い腕を獣のように振りかぶって、リビーは敵機に襲い掛かった。



（戦い続けなければ。死地では、生きているだけでは足りない。生きて、戦い続け、駆け続けなければ、死に追いつかれてしまう。死に飲み込まれてしまう）

（生きて、追い続けなければ。あの人の背中を）



（生きて、生きて、生きて）



（いつか終わる、その日まで）


　

　
　
リビーが『黒金乱眼』を置いている格納ガレージ。
薄暗いガレージの隅には古いマットレスと毛布、多少の荷物が無造作に転がっており、ここで寝起きしているようだ。
　
　
ガレージの中央に鎮座するのは『黒金乱眼』。
機体が置いてある部分はきちんと照明や整備機器、および簡易のテーブルと椅子があるが、それ以外はがらんとしていて薄暗い。
　
　
　
【ユニオン基本】
・格闘上げ＋ロールプレイ舞台。
　情景描写のお供にどうぞ。
　
・参加希望の場合はENo.316までメッセージをいただければ次回更新時に随時許可宣言予定。
　（メッセージ内の最後に【希望】と入れてくださると分かりやすくて助かります）
　未参加のまま、情景を利用したメッセージのみのやりとりも可。
　
【ユニオン活動】
・格闘
　
【ユニオン購入】
・機動力+3%