ENo.0402　クリスティン＆ヘキサ

……次のニュースです
釘片影町13番街で女性の変死体が発見されました
使われていないアパートの部屋で物音がすると通報があり、自警団が駆け付けたところ、遺体があったということです
女性はノラ・ハートミルさん、27歳とみられ、遺体には拷問を受けたような損傷がありました
自警団は犯人の行方を……


……

何が、あったんだろう？事故？事件に巻き込まれた？
……いや、何かがあったのだろう
世の裏側を知らない、というほど世間知らずではない。
あの人は何か、危険にかかわっていたのだ。

……そう考えているうちに通信が入る。

「こんにちは。いまよろしいですか？　派遣仲介人のメフィルクライアです……」

……
…………
………………


「うさんくせぇ。」

通信のあと、ぼそりとヘキサがつぶやいた。大き目のオウムのような外見だが、頭脳の回転は速く、洞察力も高い。物事の裏も知っており、駆け引きもそれなりにできる。
……あと、口と目つきが悪く、ぶっきらぼうで、性格も意地悪だ。

……今も何か睨まれている気がする。私の心が後ろめたいから、という思い過ごしではない、と思う。

その辺はさておき、言っていることには同意できる。
拡大しつつある戦線。そして、その件についてほのめかしていた人物の変死。子供だっていろいろと不審に思うだろう。


「明らかに利用しようって感じだな。まあ、あの仲介の奴にその気があるかどうかはわからんが。少なくともその上はいいように使う気満点だな。それでもやるのかい？」

「……はい。」

ヘキサさんの問いに、静かに私は頷いた。逃げたくない。道を切り開きたい。
その先に何があるのか。今の私にはわからない。だが……今の時点で、多くを捨てて逃げることにはなりたくない。何も出来なかった過去とは違い、今の私にはまだ、できる事があるのだから。

「お願い……力を貸して」

自らの愛機に言葉をかける。

「いいだろう。了解した」

いつものような機械音声。そこにはあきらめたような、それでいて自分を勇気づけてくれているような響きが感じ取れた。