ENo.0068　リュミドラ・カラビネル・レギナルト

【9週目】
時々、格納庫前を歩いていると老人が歩いているのを見かける。
白い軍帽を被った老人。…ただ、見かけるだけで、次の瞬間には消えている。

最近、格納庫の端末から見つけた誰かの古いデータ。
ここの世界とはまた違う世界での活動記録が載っていたが、
それと関係しているのだろうか。

近い内に、ハイドラの大規模な点検が入るらしい。
それにより、ハイドラの操縦面で大幅な操作変更があるとのこと。
私は其方の方を気にしていた。おかげで、老人の事など全く気にも
留めていなかった。誰が好き好んで人族の老人など相手するのか。

また、パーツへのレビュー、ハイドラライダー同士の
意見交換シート的なものが配布された。データだけなので
電子的なシート配布ではあるが、記入率はまちまち。
週刊誌のネタにしてもよさそうな気もする。よく見れば、
かなりの大物も書き込んでいるようだ。これは士気も上がる。

ハイドラライダーへ向けた週刊誌を刊行しているに辺り、読者やファンが増えてきた。
そして、相棒からも常々言われていたのだが「文字が読み難い」。
こればかりは直さねばならない、自分のいた世界の書体をそのまま
共通語として書いているのは、まずかったらしい。
ユニオン内でも読んでくれているメンバーが多く、情報発信と
交流を兼ねた目的の週刊誌を出す事に意味はあると実感した。
ならば、書体の改善が急務だった。
ただ、書体探しに時間がかかったのもあり、挿絵は用意できてないに等しい。

とはいえ、刊行しないという訳にもいかない。不定期更新の筈が
定期更新になっているだけではあるが……


週刊誌三冊目。
今回はページ数の微増、戦訓等の掲示。
対策を怠れば、ハイドラも負ける。


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【霧の中の兵】
今回の戦場は消えた部隊との交戦。
亡霊は存在しない。
そして霧の中に消えた部隊が襲いかかる。
……残存領域では時間感覚が曖昧で、2日かかる距離が2時間やら4日やらと
間延びする傾向がある。
霧の中に消えた部隊との交戦、それはつまり時間差のある戦い。
あちら側からすれば数時間前でも、此方からすれば2週間後など
有り得る話なのだ。


当時消えた部隊は大規模な機甲師団で、装甲戦車「アルマジロ」を
主軸に置いた編成である。自走砲「イーグル」や火焔放射戦車も
混ざっており、一筋縄ではいかないようだ。
また、近くにゲリラか何かのトーチカと電磁鉄線があるらしい。
ついでに破壊してしまうべきだろう。

既に旧式化した装備が目立つ。
その1つに、ここに来た時からもっていた8.8cmがある。
…これも更新すべきだろう。そう思い、パーツを組み立て
色々と変形機構を持たせて作成する。
8.8cmの時よりも洗練された、折り畳み式の狙撃砲。
近いうちに来るであろう技術の埋め込みにも耐え得るデザイン。
そしてユニオンのロゴマーク。

そして新たに購入予定の放電コイルは、機銃型放電コイルの後継機として名前を変えて使用する。


【週刊誌】
週刊誌を発刊した。
継続は力なりとは言ったもので、三冊目を
作り終えてしまった。
もっと工夫をしたいが、中々思い付かないものだ。
どうしたものか。


創刊号
twitter.com/rotten_mow/status/852675742181629953

二冊目
twitter.com/rotten_mow/status/855206777490522112

三冊目 New!!
twitter.com/rotten_mow/status/857738771445334016

「http://」の後に載せれば見れるはず。多分。



ーーー出撃の鐘が鳴る。

今後の自分の生き方がどう変わるか分からない。
気付いたら隣にいた酒飲み仲間が今日はもういない、など。
有り得る話ではある。だが、死ぬ為に戦場へ行くわけではない。
明日を生きる為に戦場へと赴くのだ。

今日も相棒と共に進む。霧の戦場へーーー

生き残った者達へ。
これから往く者達へ。
私たちは歌おう、今日この日があることを。
私たちは祝おう、今日この身があることを。

全ての生きとし生けるもの達へ。
健やかに、でもなく。末永く、でもなく。
ただただ只管満足な生と、満足な死が迎えられるように。

乾杯。