ENo.0268　ゴートリンデン

その男のハイドラは、かつて古い戦闘機だった。
GOATLINDENという彼の愛犬の名がつけられたそれは、戦争中多くの功績を残したタイプの機体だ。
それゆえ、終戦とともに記念館や公園の広場に「終戦記念」「二度と戦争は起こさない」などの言葉とともに飾られた。
男の愛機もそのうちの一つだ。
機関銃に撃ち抜かれはしたものの、一度も撃墜されることなく男ともに帰還したが、
修復のされぬ銃創や黒く焼けた跡、飾られるうちにサビついた胴体。経年劣化。

男が退役して10年になる頃には悲しくも勇壮とはいえぬ姿となっていた。


だが、今はこの残存領域で再び男を乗せている。
男にとっては変わらぬ愛機だが。
戦場でそれを見たものはみな凶悪な印象を受けるという。

生きている、と言う者。
黒く禍々しい腕が見えた、という者。

様々だが、男はそのたびに鼻で笑った。
実際、ハイドラに乗り込めば戦闘中に自分たちの姿など分からない。

今、格納庫の奥で静かに休んでいる愛機は、いつも通り安らかだ。
銃創もきれいにふさぎ、コックピットや胴体部分もいつでもピカピカにしてある。
各パーツこそ一新したものの人が気味悪がるのが不思議なくらいだった。


お前は昔と何も変わらんな。

……。

…。

どこからか迷い込んできた雑種の犬。

遊んでほしそうにこちらをじっと見つめる犬。

筋トレをしていると腹に乗ってくる犬。

くんくん言いながら餌をねだる犬。

じゃれついてきては困らせる犬。



がいる体で。

常に見えない何かと格闘する人生。そこに犬が居てもよい。

決まりは特になし。
各自好きなようにエア犬。
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格闘5：機動力+3％

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