ENo.0349　ラキア・パラミダス

出撃のサイレンが鳴っている。
私はギュッと目をつぶって、その時が来るのを待っていた。
ヘルメットを掴む指が震えているのが自分でもわかる。

あの少女に、狛鶫ソラに言ったことは本当だ。戦場に出るのはいつだって恐ろしかった。
どれだけ場数を踏んでも、慣れることはなさそうだった。

けれど、その理由は全部が全部本当ではない。

私は”自分が死ぬかもしれない”ことも勿論怖かったが、
同時に”自分だけが生き残ってしまう”ことにも怯えていた。
コークスやソラが死んで、私だけまた生き残ることを。

何故なら、それは私が、弟や他のみんなの死に責任があると証明することに他ならなかったから。


……では、自分は死にたがっているのだろうか？

答えはＮＯだ。


私は、もう誰も死なせない。
そして、絶対に生き残ってみせる……！
そのために訓練をつんできたのだから。

そう決意を固めると、指の震えも止まった。

私は目を開く。


ヘルメットの遮光バイザーはただ黒いだけで、私の顔を映さなかった。

鉄の騎兵を駆る騎士のためのユニオン。
とある王国が買い占めた土地に建つ巨大な要塞『エクゼター』を本拠地に活動をしている。

ユニオンメンバーになるには、騎士としての十分な名声、もしくは一等以上の位をもった騎士による推薦が必要。
シンボルマークは、青地に銀のガントレット