ENo.0558　アレクセイ＝イワノフ

闘技場でのハイドラ同士の戦闘で興業ときたか。
競技用や戦争ごっこのエアガンでは無いぞと言ってやりたいが
当面の敵が片付いても依頼主の側には何か思惑があるのだろう。
軍事パレードや兵器ショーの延長と考えれば、まあ是非も無い。
ここで気にかかるのは以前共闘したアレク氏の動向だ。
友軍ならまだ良いが今度は直接対決する事にもなりかねん。
よくある名とはいえアレクがアレクを攻撃したではややこしいな。
当面は儂の方は『イワノフ』の名で通すとしよう。

我がウォーハイドラの機体名は『ウォーデン』と命名した。
その名の由来は古のヴァリャーグ達に信仰された戦争の神だ。
魔術の知識を得る為に槍に刺さり９日間逆さ吊りになる苦行や
地上でわざと戦乱を起こし戦死者の魂を収集しておきながら
自身も最終戦争ラグナロクで戦死するというのも洒落が効いておる。
戦場において常勝の者などおらぬ。死ぬ時は死ぬものだ。
ロシアにおいてもハリストス（キリスト）の威光は強力だが
全人類の罪を背負って救うとは綺麗過ぎた話でどうもなじめん。

戦争は技術を発展させる。それだけ必要にかられるからな。
だがそれにしてもウォーハイドラのパーツの進化速度は異常だ。
威力の高い火器、或いは高性能な支援装備が次々に作られ
ほんの一月前の新製品が陳腐化し型落ち品となっている程だ。
人間の技術だけでは無い、ウォーハイドラ達の意志を感じる…
より強い牙を、より早い足を、より強靭な体を得るために…
と言うのは非科学的であろうか。
ふん、今夜は少々酔っておる。柄にも無い事を言ったかも知れぬな。

流行遅れの遊具の工場にカモフラージュされた秘密基地。
冬は車輪をソリに換装するロシアの３頭立て馬車が名前の由来。