ENo.0023　アンナ・T・パラボ

フリーおじさん

アンナがこう言って憚らないおじさんは一体何者なのだろうか？
実際のところはおじさんではない…いや、おじさんなのかもしれないが。
ハイドラライダーは通常出撃する際に色々と申請を行う。
（これを行わずに適当に出撃する者が俗に言う『休暇』勢だ）
そして、ハイドラライダーに出される依頼…
これは毎回きれいに4種類に分かれる。
ライダーが分散しすぎるのを防ぐため、ハイドラライダーに依頼すべきものを厳選しているのだ。
当然その依頼――ミッションの内容には差異があり、
そうなると人気なミッション、そうでないミッションが出る。

人によって判断基準は違うだろう…
安全なミッション。
『稼げる』ミッション。
スリルのあるミッション。
ともかくミッションを指定させると、人員が偏るのだ。
だがアンナのように…何も考えていない、
もしくは『フリーおじさん』の恩恵を受けたい者、
先述した『休暇』勢…
彼らはミッションを指定しない。
こうしたライダーたちは、受注ミッションを指定したライダーを振り分けた後、
自動的に空いたミッションに適当に振り分けられる…
この仕組により、人員過多、もしくは不足なミッションというものが発生しないように
うまくシステムが作られているのだ。
そして、依頼仲介者にとってこのフリー人員は相当に扱いやすいらしく、
ミッションを明示的に指定したい者達には気持ちばかりの賞与が与えられる。
この賞与のことをアンナは『フリーおじさんに股を開く』という表現をしているのであった。

…そうは言っても誰がバルカスのミッション自分から受けるんだよ

……ノーコメントで

生き残った者達へ。
これから往く者達へ。
私たちは歌おう、今日この日があることを。
私たちは祝おう、今日この身があることを。

全ての生きとし生けるもの達へ。
健やかに、でもなく。末永く、でもなく。
ただただ只管満足な生と、満足な死が迎えられるように。

乾杯。