ENo.0406　ファイブカード

　
膨大な資料を漁っている。
残像領域の情勢が大きく動き始めたここ一年足らずのことを知るために。

辺境軍閥の結成。遺跡要塞の再起動。企業連盟と霧笛の塔の協調。ハイドラ大隊の招集。遺跡要塞の攻略。辺境軍閥の半壊。企業連盟の台頭。遺跡要塞の攻略。辺境軍閥の降伏。コロッセオの復活。遺跡要塞の攻略。レジスタンスの興隆。『禁忌』の再起動。巨人の出現。───…………



まるでお祭り騒ぎだ。
組織や企業や傭兵や人や人や人や人が入り乱れて収まらない。
その中にあってこのハイドラ大隊は一つの流れとして力を示し続けた。今もそうだ。

なるほどね、と独りごちて顎を撫でる。

こんなどんちゃん騒ぎじゃハイドラとハイドラライダーが重宝されるわけだ。
力ある集合体が大きな役割を果たすわけだ。

……ハイドラがその役目と本分を全うするにはうってつけの舞台と時期じゃないか。



この子はそれを知ってたのかねえ、と操縦棺の中で誰へともなく語りかける。
返事は無論なく、しかしどこか腑に落ちる感覚があった。

そりゃそうだよな。
どうせだったら、めいっぱい活躍したいもんな。

かつての乗り手たちの遺したもの。

今は霧の立ち込めるハイドラの開発プラントとしてここに在る。
かのハイドラを生み出した者と、生み出した場とがここに在る。