ENo.0024　蒼乃　海

…………


…………私もとっくに死んでるようなものだったよ。あの日から。

あの日から、私の時は止まっている。

平穏な日常を望んでいた少女が居た、あの時間から。

あの日から、私は人間になった。

理解するために。そして今感じているこの心が、

あの時、私に必要だったものなのかもしれない。だけどもう遅い。

あの場所も、時間も、もう戻らない。

私は私が望まなくても、『蒼乃　海』という人間として生きていくしか道がない。

そしてそう思っているのはきっと私だけで、もう記憶に残ってはいないのかもしれない。

でも、それでいいのかもしれない。だって、

皆、

私の

敵だから。

だからもう、




－　［　生体電池手術、完了　］



……退屈だな。

結局、何も変わらなかったよ。

風の噂によると、外で何かするらしい。
次のコロッセオにはこれ以上強い奴は来ない、って事なんだろう。

次回は最終ラウンドで12000cのベットが賭けられているらしい。……金の亡者が寄ってきそうだ。

それに、私が求めた勝負はもうここにはない。
今回は2回前に一騎当千の活躍を見せた戦闘人形が居る分、幾分か楽しめそうではある。

さて、出場の時間だ。

じゃあな、鋼鉄の檻。
私は一足先に、外に出る。



***　－　Leviathan

　『　今、どうしているのか　』

　　呼びたくても、もう呼べない名前がある。

　　なぁ、■■、

　『　何もない方が、良かったんだろう？　』

　　それでも君の名前だけは覚えている、ずっと、どこかで、

　『　私は君に、押し付けすぎたのだろうか？　』

　　その答えはもう、何処にもない。

　　君の代わりなど、いないのだから。
　
　　元気で過ごしている事を願おう。

【No.24】