ENo.0261　Solitus

――この世界にやってきてから、今日で40週目。
長らくこの世界を駆け回ってきたカナエとソーナがぼんやりと思うのは、この戦いの終わってからのことだった。
きっかけは報酬が魅力的だった――ということからスタートした生活だったけれど、いろんな人と知り合うことができたし、ウォーハイドラであるソリトゥスと出会えたし、悪いことばかりではなかったように感じる。
いや、むしろ良いことばかりだったかもしれない。

「……はは、迷い込んだときは適当に頑張るか……とか思ってたけど。結構本気になっちゃったよねぇ、ソナ」
「……うん」

カナエも、ソーナも、この世界で得られたものがたくさんある。
ソーナは様々な人と出会い、触れ合うことで、より人間らしさを手に入れることができたし、カナエは残像領域を離れたあとの行き先を手に入れた。
戦いが終わったあとは楽しいことをするという約束も交わしているし――本当に、あのとき残像領域に迷い込んでよかった、と心の底からそう思う。
戦いの中で思いっきり面倒ごとに巻き込まれてしまったと思ったこともあるけれど。

「……さて、ソナ。もうちょっとでこの戦いも完全に終わるだろうし……最後くらいは頑張って決めようか」
「……わかった」

ぽんと隣に座っているソーナの頭を軽く撫でてから、カナエはソリトゥスの操縦桿を握り、この世界で出会った人たちの姿をぼんやりと思い浮かべる。

最初のほうに数回戦場を共にした少女。
自分にとってお気に入りの大人である男性。
戦いが終わったあとに秘密基地を作る約束をした少女。
面白い作戦を考えてソリトゥスの新たな可能性を見せてくれた男性。
優秀なパーツを作り、それを販売してくれた青年。
そして――自分たちに新たな道を指し示してくれた、僚機である彼。

僚機である彼は今、共に戦場に立っているけれど、他の仲間たちも同じようにどこかで戦っているのだろうか。
どうか最後の最後まで生き残ってほしい――そんなことを思いながら、カナエはにんまりと笑う。

「さあ！ソリトゥス！最後の大舞台といこうか！！」

――霧が晴れた空の下、鉄の狼が咆哮した。