ENo.0253　棺桶は歌う

それは、戦場に伝わる伝説。
森から来たる死とも呼ばれる不吉の象徴。
今はもう忘れ去られた古い、古いお伽話。

その日、戦死者に呼び起こされるようにして。
それは再び現れた。

ありのままに形容すれば『巨大な黒鉄の棺桶を乗せた巨大な荷車』としか形容できない異質な機体。
あちこちにカビとキノコを生やしたそれは、よく見れば戦場で散ったＷＨのパーツによって構成されていた。

死機で形作られた鋼の棺桶。
カラカラ、くるくると、錆びついたいびつな形の車輪を回しながら戦場を幽鬼の如く徘徊する。

……本来ならそれだけのものだった。
不気味だが、ただそれだけの。
無視をしても何の問題もない、役には立たないが邪魔をするわけでもない不気味な亡霊。

それがＷＨとして登録され、ＷＨとして活動を開始したのと、棺桶から微かに「歌」が聞こえるようになったのは同じ時期の事だった。

棺桶は歌う。
カラカラ、くるくると、錆びついたいびつな形の車輪を回しながら。

今日も。

個人用。ひたすら適性を上げるユニオンです。