ENo.0321　“ウィナー”・ザ・ビート

［Report-05］XXXX-XX-XX
　
　［セクション・２］への侵入ルート途上にて、大規模な混成部隊との交戦あり。
　戦況は極めて悪く、早々に撤退して部隊の態勢を立て直すべきところ──我が小隊のハイドラ、全てのH.C.S.に異常が発生。
　マシン・オーバーロード現象の発生をトリガーとして、小隊全機が事実上活動を停止(※)。
　
　　（※あくまでも自機のレコーダーに記録された状況からの描写であり、実際は何らかの霊障現象だったものと推定される）
　
　完全に停滞した戦場で、オーバーロード状態のまま機能停止したハイドラが次々と活動限界時間を超過して戦場から脱落。
　そのまま、本来ならあり得ないタイミングでハイドラ大隊の増援が到着したものの、これも戦場の謎の霊障効果により機能を続々と停止。
　敵部隊に一方的な攻撃を受け、その全機が強制オーバーロードからの活動限界により戦場から脱落。
　
　本来ならば敗走・撤退を行なうべきところ──霊障フィールドが維持されている間、彼我ともに撤退も進撃もままならず。
　他の戦場すべての戦闘が終結した段階で、ようやく霊障効果の消滅を確認。
　敵部隊は半数以上が生存、そのまま遺跡の奥に撤退した。
　我が小隊は──稼働可能機ゼロ、増援も同様に壊滅。また死亡者一名を確認。被撃墜率が数値上は100％を超えるという、壊滅的被害となった。
　
　これら緊急的事情により、前回出撃から一週間経過した現在も帰還不能。別の混成部隊に包囲され、かろうじて別の友軍部隊と合流するも危機的状況にある。
　現地にてハイドラパーツを換装し、孤立状況からの脱出を図ることとする。
　本機が脱出に失敗した場合は、このレコーダーを回収したのち、新たな要員を補充されたし。
　
　
　
　──秘匿通信によるメッセージを送信。
　──当該ログは1分後に自動的に消去されます。
　
　
　（画面暗転）

『切り札は常にただひとつ』