ENo.0266　フレデリック・ボウマン

「…」

生ける者は幸いであり苦でもある。
死は果てであり、己も滅せられる世界ともいえる。
望まぬ生、あるいは死は世界に溢れている。
それは常だ。

だがそれを良しとしないのもまた人間ではないのだろうか。
灯りに映し出された数多く並ぶ位牌。残像領域での私財を用いて作られた東洋的な広間にそれは並べられていた。

探索が進む中、また一人と失われた兵士を弔うように金鉢が鳴る。
広間全体に広がる香が静かであり沈んだ清い空間を作り出していく。


「少佐、お時間です。」

男を迎えに来たのは両目から光を失い、両腕両足をも義肢とした少女が一人。
そしてその両脇には対象になるかのように片目と片腕、片足を失った少女が一人ずつ。

「いつもすまないね。この歳になると時間がいつのまにか過ぎていることが多くてね。」

「ご苦労様です。」

先導する三人に追従するように男は広間を抜けて歩みを進める。
行き先は病棟。先の負傷兵が義肢転換の施術を受けるとのことで直前にと面会を頼んでいたのだが
その時間が差し迫っていたのもあり迎えに来たのだ。

年齢がすでにハイドラ、また機動兵器に乗れる限界を迎えようとしている男にとっては
普段の生活は一人で十分にこなせるが、組織だった社会にいれば自分以外にも手は必要になる。
そこで三人の護衛のような存在がつけられた。

「私の予定はここまでですが、あなた達も気をつけて。」
「はい。成し遂げてきます。」

どちらがどちらをも見送るような挨拶を済ませれば各々の時間へとまた戻っていく…

民間教練大隊Division:Dは禁忌戦争後に高まるウォーハイドラとライダー需要から設立された
軍事教育と目的とした民間軍事会社です。

教練を受ける資格はライセンスの所有
また教練を行う資格もライセンスの所有です。

また教育をうけたライダーに仕事を斡旋することも業務に含まれており
現在は訓練及び実地訓練、そして遺跡への威力調査及び収集を目的としています。

尚、現在探査の都合上いくつかの地上艦艇が派遣作戦指揮所となっています。
業務上全て公示されているわけではありませんが【ラングレー】【Ａヒッパー】【インディアナポリス】の所有を公表しています。

・セクション

【残像領域本部】━【派遣事業部】━【各派遣調査部隊】
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※格闘訓練特化ユニオンです。