霧12、電磁波160　霧が薄い　射撃有利？

・仮設頭部を外した　元々操縦棺がウグイスの頭みたいなものだし
　→索敵装置付きの頭部は軽いが結構ENを食う　レーダー単品の方がEN運用は遥かに良い
・ツインブースターの効果は上々　お陰である程度の空襲は可能だということもわかった
　→但し本来の60%程度の推進力しか出せていないことが判明　機体の軽量化を図ろう
・パーツは付け替えたはいいが今度は電子攻撃に弱くなってしまった
　→原因は噴霧量が相対的に増えたため
・明日は対人戦も控えている　公開演習なら幾つか観戦したい
・カタログからパーツを購入すること
　→重逆関節、エンジン、電子格闘　軽くて性能のいいものばかり
・僚機募【汚く消しゴムをかけた跡】
　なんか別に相手が無人機でも良くなってきた　最近は同業者と話せる機会が増えて嬉しい

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　比較的治安が良い地区の店で手頃な値段の双眼鏡を買った。それからプレッツェルを細かく砕いて味を付けたものを数種類。店員に缶のアルコール飲料も一緒にどうですかと勧められたが断った。残像領域の安酒は一度飲んだだけで体が受け付けなかった。やはり酒はしっかりとした店で出されるものが一番だ。
　帰宅してから明日の演習の対戦表を確認する。相手側が有人機のペアに対しこちら側は相手と無人機。勝てるかどうか自信がないが、まあ演習は演習だし気楽にやってみるか。
　そういえばフォボスに搭載されている重プラズマ砲が『ヴィーナス』だと気付いて1人で笑っていた。スティーブンにそういったことを見越して僚機にしたのかと聞かれたが、これは偶然である。厚めの装甲に期待して僚機要請を出したまでだ。

　かつてこの残像領域におけるウォーハイドラのパーツは、今のように多種多様ではなかった。規格を統一された量産品と言ってもいいような、面白味に欠けたものしか組み合わせることを許されていなかった。仮に現在のように個々人で造ったパーツを公の任務で使ったなら、敵勢力のスパイだと疑われたり、流通ルートを徹底的に調べ上げられた上で罰せられたであろう。
　そういった味のないパーツ群は、カテゴリ毎に決まった命名規則によって名前が付けられていた。例えばブースターなら、犬や猫の品種名を冠したものが6つほど存在していた。アメリカンショートヘアがコストパフォーマンスがよかったことは記憶している。今回私がラモラックに依頼したパイルも同様であり、昔はコーヒーのブランドにちなんで軽いパイルが『モカ』、重いパイルが『キリマンジャロ』と名付けられていた。私はブランドがどうこうといった話には疎いが、それでも有名なコーヒーであることぐらいはわかる。そんな決まりを踏襲したわけではないのだが、先日造ってもらったナックルバンカーには紅茶の品種名を付けた。

　しかしここである疑問が浮かぶ。
　パーツ名に用いられていた地名や曲名、天体といった固有名詞は残像領域特有のものではなく、私が住んでいた世界のものと全く同じだった。こんな機械技術が発達した世界が果たしてあそこと全く同じだと言えるのだろうか？　はたまた平行世界の地球？　いや、ここは残像領域、それ以外の何の場所でもない。検索エンジンで調べてみても世界の始まりに関わるような情報は全てヒットしなかった。そういう世界なのか？　起源がわからないせか……これ以上考えるのはやめておこう。パーツ名問題も、昔あの世界――人間が太陽系の惑星、地球に住んでいる世界――からやって来た誰かの仕業だと思うことにしよう。
　はぁ、と大きくため息をついてベッドに横になれば、自分の体がかなり冷えている事に気が付いた。今日はもう寝てしまおう。そうして変な考え事を記憶の彼方に放り投げつつ、新しい朝を迎え何事もなかったかのように1人の傭兵として振る舞えばいいのだ……