霧119　電磁波152　また霊障で敵を片付けることになりそう

・ボンボリって何だよボンボリって【ペンを強く紙に押し付けた跡】
・やはりスレイベルは苦手だ　初めての大破を味わうところだった
　→噴霧量低下　噴霧量低下　エンジンを1つにしてもいいかも
・演習反省点　有効打が霊障攻撃のみ
　→索敵も失敗したけどこれは技量より環境の問題だよなぁ

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　炎は待つという言葉を知らない。それはウォーハイドラに引火したときも同じだ。敵機に接近しようとしているときも、機体を旋回させるときも、一撃をぶちかましているときも、ただひたすらに燃え広がり金属の塊をじわじわと蝕んでいく。たちが悪いやつだ。大部分に黒い焼け跡が残るウグイスを眺めながら、そんなことを思う。
「やっちゃったねー。あのさ、ベティさんは突っ込みすぎなんだよ。銃器なし、格闘武器だけって構成は自ら薪になりにいくようなもんだって」
　ほんの少しだけ伸びた顎鬚を触りながら、そうエリオット・カイネは言う。彼はこの現場で私の担当になった壮年の整備士だ。
「今日は酷い霧ですし、こういう日は白兵戦主体で行くのがセオリーだと教習生時代に習いました。近付かざるを得なかったと言うべきです」
「んー、俺には近接大好きっ子の言い訳にしか聞こえないけどな。だってベティさん、ここに配属される前も射撃主体のハイドラに乗ったことないんだろ？　俺が傭兵やってた頃は例え至近距離での強襲に向いた構成でも、1つは射撃武器積んでたよ？」
　エリオットさんは企業のテストパイロットから傭兵に転職し、それから紆余曲折を経て整備士として配属されたと聞いている。やたらウォーハイドラの内部構造だけは詳しいのに、一度も操縦したことがない頭でっかちではなくて本当に助かっている。
「まあ始めに支給された機体は速射砲と粒子ブレードを積んでありましたし、牽制射撃は有効ですからね。本来は併用するものなんでしょう。ですが私はこう、近付いてズバッとやる感覚が大好きなんです。とりわけ飛び上がってからの一閃が……」
「だから逆関節にしたってわけか」
「そうです。格闘機でも空襲できるんです。頑張れば頭部をかち割ることができるんですよ！」
「……ベティさん、話し始めよりなんか熱くなってない？」
　指摘されて気付く。確かに頭部をかち割ることは経験してみたい（対ハイドラ時に限るが）。だがこの秘めた野望というか、口にしただけで人格を疑われるようなことを話すのは初めてだった。
「すみません。つい興奮してしまいました。最近仕事が楽しくなってきたせいですかね」
「ははは！　楽しければそれでいいじゃないか。だがこれ以上あんなギョッとするようなことは言わないでくれよ？」
「わかりました」
「そうだ、EN生成に余裕があるなら炎上誘発装置を積んでみたらどうだい？　燃やされたら燃やし返す。これから堅物と戦うときに役立つかもよ」

　部屋に戻りパーツカタログを眺める。エリオットさんの勧めもあって真っ先に目を通したのは一番後ろ、機体炎上誘発の項だ。
「今日は一段と誘発装置が充実し……いや旋回障害は出てないのか」
　独り言を言いながら気に入ったパーツの番号を控えていると、急にスティーブンから通信が入った。
「はいこちらウグイ、じゃなかったベティです。何？」
「まず急ぎの用件ではない。ラモラックと契約してくれる新たなハイドラライダーが現れたんだ。挨拶だけでいいからさ、ちょっと本社に顔を出してくれないか？」

　濃霧の中でも安全に走行できるよう、全ての運転がAIで制御されたバスに乗り込む。迷霧の中うっすらと見える電波塔を眺めているうちに、何の問題もなくラモラック社前に着いた。照明の光を頼りにメインエントランスの自動ドアをくぐる。
　そして次の瞬間、私は受付の女性の隣に立っていた人物を見て目を疑った。緩い三つ編みに夏空のような青い瞳、モノトーンのある程度ゆったりとしたパイロットスーツ、そして胸に輝く燃え盛るハートのエンブレム。そこにいたのはまさしく私の憧れのライダー、マーカス・グレイシー……ではなく、彼のパートナーだったのだ。
「今日からラモラック社と契約しました、サリー・ハイズマンです。よろしくお願いします！」

　アイテム19番「保証書45」[45/保証/---]と2番「八号弾投擲砲「フウセンカズラ」」[40/臂力/変形]を消費して
　ヒートソードA[火炎]をベースに重量拡張を20で作製！
　パーツ名は「ヒートグレイブ『タフリング』」に決定！