霧5　電磁波151　明日の空は綺麗かな

・1日経っても更新か終了か決めてないって私はバカか
・昨日の市街地襲撃（字に書くと酷いことやってるな）少し手間取った
・ただ新しい脚部はとても馴染んでいた
　→装甲が異様に厚かったけど、軽いお陰か今まで以上の機動力が出た！
・まだどのパーツ買うかも考えてない

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「気持ち悪い」
　サリーからのメッセージと共に受信した音声ファイルを聞いたベティは、そう吐き捨てるように言いすぐさまファイルを削除した。君の噂は聞いている、残像領域の新たなステージへの到達の瞬間に立ち会ってもらいたいという誘い。声の主はそれをデートの約束と比喩していた。ベティはこんな気味の悪い、霊障の仕業にも思えるデータが送られてきたことと、この配属先のネットワークのセキュリティの甘さに苛立ちを覚えた。ふと過去に一日中、施設内のスピーカーからボンボリだの歌う音楽が流れていたことを思い出す。定期的に行われる演習、頼めば翌日には届くパーツ注文システムなど、ベティはこの施設のサービスをいたく気に入っている。だがボンボリ事件のように所々『抜け』が見えたり――それを愛嬌ととる者もいるが――そもそもこの配属先がどのような思想を持った、どのような企業に支えられたものなのか、傭兵は誰も知る由もなかった。

　簡単な身支度を済ませブリーフィング会場のホールに向かい、適当な席に着く。予め配られた資料に目を通せば、最高ランクの危険度だと判断されたポイントに見慣れない機体名が記載されている。
　重機動兵器『銀兎』。『重』と『機動』という2つは噛み合っていないのでは、とベティは首を傾げたが、動く巨大兵器という意味で捉えれば納得がいくような気がした。そうこうしているうちに壁掛け時計が定時を知らせると、説明担当の職員が前置きを述べた後マイクを録音再生機に近付け、再生ボタンを押した。
「今回の依頼には、我々の用意した機体を随伴させてもらう。簡単な実戦テストだ。君たちの邪魔はしない。護衛も必要無いので気楽にやってくれ」
　会場内がざわつく。職員はプライバシーの問題につき依頼人及び機体の詳細は明かせませんと詫び、何とか傭兵達にこの状況を飲み込んでもらえるよう頭を下げていた。もちろんベティもこのような事態を素直に受け入れられる人間ではなかった。何だよ、と言いかけた口を閉じ腕を組む。傭兵はあちらにとって手駒でしかないだろうから、駒ごときが何を言っても無駄だというのが彼女の考えだった。

「スティーブン、銀兎って機体について知ってることない？」
　説明終了後の出撃までの空き時間、ベティはいつもの様にスティーブンに通信を入れた。
「データベース検索中……いや、さっぱりだ。兎繋がりで白兎生体化学という企業はヒットしたけど」
　数年前、別の企業と紛争を起こしたと噂されていた企業だ。それ以上の情報は知らないが。
「ウサギねぇ……ちょっと可愛いけど、名前が名前だし、そのシロウサギのお抱えなのかもね」
　軽くストレッチをしながらそう話す。仮に予想が外れていたとしても、倒すべき相手であることには変わりない。いつも通りパイルやブレードを食い込ませればいいだけだと考えた途端、
「そうだ、」
　ふと伝え忘れていたことがあった。
「私、契約を更新する。普通だったらさっさクレジット貰って他の雇われ先を探すんだけど、今回ばかりは気が変わってね」

――金を稼ぎたいという気持ちはまだ残っていますが、ウォーハイドラを通じて様々な人と巡り合ううちに、この仕事が好きになってきたんです。同じ機械でも動かし方や搭載したパーツでまるっきり変わってくるんですもの、見ているだけで楽しいです。

　同業者のヨシノさんにそう話したことを思い出す。
　この世界が好きだから。ここで出会った人達が好きだから。そして何よりウォーハイドラを通じて見えてくる為人、思考、戦術……これらを全てひっくるめた、ハイドラライダーとしての生活が大好きになっていたから。
　やめるなんて選択肢は、いつの間にか頭から消え去っていた。
「残像領域、ウォーハイドラ、そしてハイドラライダー。全てが好きになったからこそ、最後まで見届けたいんだ……新たなステージへの到達を」

　アイテム21番「反応スプリング80」[80/跳躍/---]と22番「ポインテッド」[75/臂力/重量軽減]を消費して
　ヒートソードA[火炎]をベースに重量拡張を20で作製！
　パーツ名は「ヒートソード『タフコーン』」に決定！