ENo.0020　ソルディード

日記の一番上にでかでかと付箋が張ってある。
「製作の発注書には気を付けること」



まずった。まさかこんな戦場ですら、
お友達が居ないと大変だとは思っていなかった。
こんな体ではろくにコミュニケーション取れないし、
ソルディードに任せるわけにもいかない。

……とりあえずなにか対策ができるまでは
ソロ傭兵を名乗ろう。そうだ、それがいい。
そう思ったら俄然やる気がわいてきた、
ソロ傭兵ってなんかカッコいいし。

「大丈夫？」

でかい機体があまり旋回性のない首を回して、
操縦棺の中の俺に問いかけてくる。
そういえば、俺のバイタル状況は
あいつのAIで管理されているんだったか。
心拍……じゃなくて、脳波の乱れでも読まれたか。

大丈夫だよ

「そっか、よかった。確認だけど、安全優先でいいんだよね？」

安心したように蒸気を発して
ソルディードが追加で問いかけてきた。

ああ、君のAIのコアも俺の体もこの中にあるけど、
行動不能になる前に戻るんだよ。
俺はそう返して、頭をひねる。

こんなに多弁な子だっただろうか。
もしかして

緊張しているかい？

「緊張しているのかな。もしかしたら、そうかも。初めての経験だから、わからないや。」

そうだろうな。

俺が最後にそう返すと、明日のためにスリープにしておくね、と
ソルディードは告げて、操縦棺の中が昏く落ちた。

……さて、明日はいよいよ本番か、
ソルディードと違い、寝れない俺は暗い夜を過ごし始めた。