ENo.0335　サジェン

「スズシナさん。困りますよ。」

その日の戦闘を終え、仮住まいである研究所に戻った途端、これだ。
ねぎらいの言葉の一つや二つあっても良いと思うのだが、どうもこのプラネ・リータという女は社交辞令に興味がないらしく、ずっとこんな調子だ。

「……俺、今疲れてるんだけど。何が困るんだ。」

「先週の戦闘のレポートを貰っていません。ちゃんと書いていただかないと。」

「なんだそりゃ、聞いてないよ。
だけど、戦闘の記録はそっちでも全部録ってるんだろう？わざわざレポートなんか書かなくても……。」

「あら、契約関連の担当者から説明があったと思うのですが……何かこちらで行き違いがあったのでしょうか。
とにかく、搭乗者の主観というものは大事なのです。
感情の動きもある程度は数値に表せますが、貴方が感じていることを正確に書き出しているわけではありませんからね。」

書き出されたら困る。
大したことを考えているわけでもないが、頭の中を晒されて気分が良いはずもない。

「俺、学がないからそういうの苦手なんだけど……。」

「短くても大丈夫ですから、とにかく書いてください。
使用者のフィードバックをいただけないと、テストしている意味がありませんからね。」

そんなものか。まぁ、金を貰っている以上は仕事の内だ。
書かないわけにも行くまい。

とはいえ。

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【レポート　3週目】
特に問題なく動いてると思う。
勝てたから良かった。

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……。
流石にこれじゃあ出せないよな。