ENo.0389　ムジカ・ネネウ

意外なほどうまくいっている。
本当に意外だと思う。
コンガラサマに異性装者を許すのかがそもそもわからなかったが、載せてみたらわりと大丈夫だった。
そういえばどうしても巫女が足りなかった時捕まえてきた男を化粧させて載せたことがあるという話があった。
ほんとうは、ロジカねえさまとわたし以外の人間には指一本触れてほしくないので、早く死んでほしい。
そういうことを口にすると、彼はおそらく乗らなくなると思う。
私はかしこいので、そういうのがわかる。

わたしはコンガラサマに乗り、御言葉を聞き、繰り手たる者にそれを伝えるのが役目だ。
わたしは鬼の言葉で言えば計器だとかオペレーターに相当するものだ。
わたしはこの役目が好きだ。
部品になって、何も考えなくなるのが好きだ。
そういうことを前にロジカねえさまに話したら、不心得者だと言われた。
そうかもしれない。
わたしの不心得をコンガラサマがどれだけ見通しているかはわからないし、あの男に至っては興味もないだろう。
戦果そのものだけが、私の感じられる思し召しだった。

全員がハイドラ（夜叉）に携わる宗教団体。
辺境にコミュニティが存在し、出身者は基本的にいずれもがネネウを名乗る。
教義は他ハイドラの一切の破壊と無力化。