ENo.0323　第306特殊試験部隊

「本当にこんな仕事をしなければいけないのか、という顔しているよねメイ」
「いや…そういうわけじゃ…」

新量産兵器の性能評価試験に合わせて行われた企業合同のコンベション会場にて
我々…一部の女性隊員はコンパニオン、或いは広報用の衣装に着替えさせられ
こうして企業ブースに立っている。広報用オートマトンと共に。

「中佐も言ってたじゃん。うちの企業依頼の正規の仕事だって。」

一応のというものが付くが仕事として受けたものらしい。
企業との結びつきもだが業界の情勢を知っておくことも大事だろうと。
我々が何を着るかなどは特に考慮することでもないとでも言うような顔で
中佐は伝えていたが制服より慣れないこの衣装が緊張感を著しく削ぐ。

「防衛軍の男相手するよりずっと気が楽な仕事だよ。
　中佐はあぁいうことさせないし、いい上司だよホント。
　それに休憩中に自由に回っていいって言ってたし。
あの企業の雇われの……あの女を捜しても構わないって話しじゃなかったっけ」

あの女がこういう場にノコノコ出てくるという可能性は低いが
ないわけでもない。その可能性があったとして……見つけたら…

「でもうちら今武器持ってないからヤバイのだけはごめんね」
「二人とも仕事なんだからもう少し仕事の方に集中して……」


──前線仮設派遣地
「中佐。例の女の情報ですが、残像領域派遣の折よりのデータのみ都合できました。」
「どれ…名前は、ふむ…」
名前と姿見、協力している企業の名前のみ。
企業協力から一部の情報は取れる程度のものしか手に入らなかったものの…

「覚えに無いな」
「そうですか」
「この世界では見なかった顔だ。」
つまり、以前の……欧州世界での出来事だろうか。

「中佐は以前何を。」
「軍で治安維持の仕事をな。入隊を決めたのは中々に荒れていた時期だ。
　最も民間に移った後も世界は平穏とは無縁だった。」

「この世界でもどうやら平穏とは無縁のようだ……残念ながらな。」

退屈とも無縁らしい、とは口に出さず
企業の協力員との密会は終わった。

我々アフラムインダシトリィは
城塞都市キルガールを拠点にする企業ユニオンです。
歴史は古く自由都市時代からの重工業産業の組合を基としており
現在は軍需重工業に切り替えてキルガールの防衛軍受注を中心に生産を行っています。
当領域等には現地での需要調査、およびウォーハイドラパーツの研究開発試験
並びに販売を目的として今回は参入させていただいております。
どうぞよろしく。

■今回のお知らせ。　[第８週]
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
新量産兵器の性能評価試験が始まります。
昨今の辺境軍閥や企業連との情勢からのでしょうか。
ですがご安心ください。これもまたウォーハイドラとウォーハイドラを作る我々の常。
明日のため、また明日の先のためによりよい製品を
皆さんと共に作って行きましょう。
さて今回はヒートスリングの先端にアンカーを装着しました……