ENo.0068　リュミドラ・カラビネル・レギナルト

【11週目】
「おい、竜魔族」
私を呼ぶ声で目が覚めた。無機質で冷たい格納庫に響く声。
「おお、起きた起きた」
何だ、誰だ、と辺りを見渡す。
体の上体だけ起こして見渡してみれば、パンターの車体にもたれかかるように立っている重武装の兵士が一人、此方を見ている。
「よう」

取り敢えず起き抜けにその兵士に向けて頭突きをかまし、回転蹴りを食らわせた。
感触は鈍かったが「ぬぐぁ」と悲鳴が聞こえたので大方当たったらしい。

「…………ちょっと横暴だな」
落ち着いた後に兵士を拘束した状態で話をする。
「お前は何者だ？」
「……この格納庫の幽霊。とでも言っておこうか」
「よし。素直な奴はいい。相棒に連絡して成仏させてやる」
「待て待て待て待て待て」
兵士は慌てた様子だった。本当に幽霊なのかもしれない？
私は彼を睨みながらも言い訳を聞く事にした。

「…お前と同じでこの世界に流れ着いた存在さ。ただ、流れ着いたのは幽霊になってから。この世界にそのまま留まれば、霊場の仲間入りもいいところだ。だけど、誰も使っていないハイドラ用の格納庫があった。俺はそこに身を潜めて、静かに暮らしてた。…お前さんが来るまではな」
「私が来るまで暮らしてたと？でも気配はしなかった」
「…お前さん、俺の使ってた端末起動したろ。それで俺も目が覚めた。寝てたのに起こされた気分だ。ついでにいえばほぼ稼働させたままだし俺の昔のデータ取り出して来るしで此方はいい迷惑だ」
「いやそれは幽霊として住み着いてたのがいけないのでは？」

……暫くの間このような会話が続き、彼がどこか別の世界で戦っていた人族の幽霊であることは分かった。取り敢えずジジイと呼ぶ事にする。

幽霊の話に付き合うのも面倒になった私は、ぼんやりとパーツの出荷リストを眺めた。
今日届ける予定のパーツが3つ。砲塔を3つほど。
古い砲塔を載せたキャリアーをパンターに繋ぎ、ハイドラのエンジンを蒸かす。
轟音と共に格納庫に霧が満ちる。アクセルを全開にし、格納庫から他のライダーの格納庫へと向かった。

途中、ライダーの飼う不思議な生物に癒された。
パンターに載せたりして遊んでいたが、飼い主が戻る前にそっとおろして、届けた砲塔に入れてあげる。
「またな、えびちゃん」
……きっと久し振りに自然な笑顔を見せたかもしれない。

気付けばライダーとの交流先は大分増えている。連絡を取ってないだけで、連絡が飛んでくれば答える気概だ。
活発的なソルジャーは、とてもいい。

砲塔をぐるぐる回しながら、上機嫌にハイドラを思うままに操縦して格納庫へと戻った。

その頃、幽霊は勝手にキレていた。

「なんで俺がこんな目に遭わねばならんのか。酒臭い格納庫にいる身にもなれっての！」




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【初めてのAI】
FCSを作成した。
…可愛い女の子を模したAI。見た目はスーツ姿だが、かなり
攻撃的でえげつない。ミサイルを効率的に運用するために
攻撃的なAIにしたのだが、これがいけなかったか？

「マスター。悩む暇があれば爆殺すべき問題です。そうでしょう」

ひどいものだ。

「私は攻撃用AIですので。ふふっ」

ただ、微笑む姿は可愛らしい。「カーミラ」の名を与えただけある。




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【週刊誌】
週刊誌を発刊した。
もう5冊目になる。




創刊号
twitter.com/rotten_mow/status/852675742181629953

二冊目
twitter.com/rotten_mow/status/855206777490522112

三冊目
twitter.com/rotten_mow/status/857738771445334016

四冊目
twitter.com/Rotten_MoW/status/860439028985876480

五冊目 New!!
twitter.com/rotten_mow/status/862820216232828928

「http://」の後に載せれば見れるはず。多分。




ーーー出撃の鐘が鳴る。

自分が進むべき道は未だ霧の中。
色を奪った黒幕も未だ霧の中。
相棒といる時間を大切にしたい。何故かって？
一緒に酒飲んで笑える相方なんてそう見つからないからだ。

だから今日も相棒と共に進む。霧の戦場へーーー

生き残った者達へ。
これから往く者達へ。
私たちは歌おう、今日この日があることを。
私たちは祝おう、今日この身があることを。

全ての生きとし生けるもの達へ。
健やかに、でもなく。末永く、でもなく。
ただただ只管満足な生と、満足な死が迎えられるように。

乾杯。