ENo.0326　〈家族〉

――エマのわがままには困ったものだ。
兄と意見の相違があるのか、機体を動かすことにどうも消極的だ。
二人のコンビネーションがうまくいっていない。
セリーンが間を取り持ってくれるが、まったくいつまでもメイドに頼っていてはいけないんだ。

だが、あえて私は寛容な姿勢で……家族を見守ろう！
家族のわがままにもしっかり答えてやるのが家長たる私の勤めだ！
家族は協力しあう。それが有るべき家族の姿だ。
あの威容を見よ！まさしく私達家族の力の結集！
ユージーンは飛行機が好きだった。将来の夢はパイロットだったんだろうか？
ハハハ、だからパパもな、気を利かせてミサイルを載せてくれとメカニックに頼んだんだ。
ユージーンはお兄さんだからな、少しばかり長男に贔屓してやったのさ。
エマには内緒だぞ、エマはまだまだ泣き虫さんだ。
長男ばかり優遇したと勘違いされては困るからね。
そうそう、機体を3本足にしたのは、家族で立つという意味合いを込めてエマ、ユージーン…………ああ、ま、それはいいだろう。
とにかく、「アグネス」……純潔、という意味だ！我が家の女たちには清く正しくあってほしいからね。
まったくお前にお似合いの名前だ、そうだろう、ええ？
――ハハ、つい話が脱線してしまう……わたしの悪い癖だ！

さあ行っておいで我が家族よ！お父さんが応援している。お前たちは絶対に勝つと！

ただ無言で射撃する