ENo.0206　モニカ・フランクリン

　大丈夫。大丈夫。
　大丈夫ったら大丈夫。

「…………」
『…………』

　うん大丈夫。キリトさんも何にも言ってこない。
　なんかこー、ちょっと一瞬私のウォーハイドラ見たとき首傾げたような気もするけど多分気のせい。
　気のせいったら気のせい。気のせいって言って！　誰が言うの！？　私か！！

　私達が今向かっているのはとある都市の地下で、ミッションは地下空間探索ってことで、その調査に向かってる謎の部隊、の邪魔をする、あわよくば壊滅させるのが私たちの仕事。予想される敵機のリストはちゃんと見た、さっきも見ました、覚えてます。
　だから大丈夫。何にも問題ないです。何にも全く大丈夫のはずです。

　――前の出撃と100パーセント同じアセンブルの機体でも大丈夫のはずです！

　いやちゃんとこれは私も考えた末のことでして、だってちゃんと装甲もそれ用でちゃんと揃ってたし、前回の出撃では攻撃も全然喰らわなかったからパーツの状況だって軽い整備で全然パーフェクトですし、今ちょっと思い切った変更をした直後だからあんまりコロコロ変えるのもよくないなーって感じですし。
　だからちゃんとこれは一つの選択肢として全然アリアリで何も怯える必要も負い目に思う必要もないんですよ。ないない。大丈夫。大丈夫。

　問題はその理由が端末ぶっ壊しちゃってギリギリまでろくなデータ参照もアセンブルの確認もままならなかったからってとこなんだけど！
　でもさすがに、さすがにヤバそうだったらそれでもなんとかこう、できる限りで組み替えたし！　組み替えましたし！　ちゃんと視野に入れましたし！　その上でギリギリで変な調整入れるよりは前回とそのまんま同じの方がいいってちゃんと判断しただけですし！

「…………」
『…………』

　キリトさんがそんな喋らないのはいつも通り。
　私も、まあ、あんま喋る方じゃないし、最近はちょっとマシにはなってきた気がするけど出撃前は緊張して喋らないし、だからそこもいつも通り。

　大丈夫。大丈夫。いつも通りです。いつも通りやります。
　いつも通り、生きて帰ります。