ENo.0276　ローデット・ダイス

「またえらく買い込んだな」


ダイスの買ってきた食料や酒、その他諸々を見て告げた。
明らかに一日分の量ではなかった。


「ん、そうかい？まあ別に一日で使い切るわけじゃないからいいだろ」

「だからってこの量どうすんだよ、どこに置いておく気だ」

「此処には置かねえよ、信用できない奴の傍で食っても美味くねえし」

「さらっと酷いこと言ったな、じゃあそれどうすんだ」

「ああ、場所なら確保してるから大丈夫だ。別に此処だけが住処じゃねえんだ」

「おい、そっちはハイドラの方向だぞ」

「たまには乗っていいだろ？元々あれがなくても操作はできるんだから」


今の操作方法で続けているのは死なない為、それだけだ。
別にウォーハイドラに乗ってやろうと思えばやれないこともない、ずっとそうしていたのだから。
ただ片腕しかないとないと戦場を駆け抜けるには大分ハンデがある、だからしない。
買ってきた食料などをハイドラに乗せて、準備をする。


「どこまで持ってく気だ、あのおっさんのところにでも行くのか？」

「バルトのおっさんのところか？だったら酒の一本持っていった方がはええよ」

「じゃあどこに」

「言う筈ないだろ。ああ、ついでだ。たまには自分の目でヴァリアブル探してみる」

「気をつけろよ」

「精々気をつけておくさ」


そう言って久しぶりに自分の手でウォーハイドラを操作する。
調整はしてもらっているものの、やはり片手で操作は動かすだけならまだしも戦場を駆け抜けるには無理だろう。
久しぶりの霧の中、画面越し、と言っても不思議なもので霧も電磁波も強くなっていく。


「ヴァリアブルの反応は無し、か……まあ、そう簡単に見つかるとは思わねえけど」


内蔵されたレーダーを確認しながら探してみるが、一向に見つかる気配はない。
簡単に見つかってしまったら元も子もないのだが。
仕方なく目的の場所に降りては荷物を少しずつ下ろしてテーブルに置いた。


「さ、たまには一杯ゆっくりやりますか――」


上物の酒、それに合いそうなつまみを用意して、
通信を軽く確認しながら、グラスに注いだ酒を一口飲んだ。


「やっぱり久しぶりに食べるのは違和感があるけど、美味いもんだ」


今度またこの酒を買うか、今度は用意しておくと言ったビールも置いて。

とあるものを求める為の集まり場。
それが何であろうと構わない、情報収集の場でもある。


制御*5、ユニオン購入は適当