ENo.0323　第306特殊試験部隊

「こいつはひどいな。」
「武器の制動にモーター使ってるもんだから過負荷でエンジン片方オシャカになって装甲もとっかえだよ」

外皮と言える装甲を剥がされ、胸に増設された２基のエンジンのうち
一機を外された上体の搭乗機を前にして
第二エンジン部門の開発主任として招かれた男、ゴトーは続ける。

「俺は格闘機に乗るタイプじゃないから深くはわからんけど
　このマシーンで前のコンセプト機と似せるのは無理だ。
　操縦棺周りの設定もだけどさ。
　そもそも後部複腕の制御できてねェじゃん。」

というかどうやって制御してたんだよコレ。
と中佐のマシーンのデータを見ながら比較している。

中佐のあのマシーンを再現しようと思った。
直感だった。やらなければと思った。
霧の中で……あの女のマシーンを見た時から。

「学習型に制御させてたらしいがどこにそんなユニットがあるのかもわからねぇし
　とにかく今すぐ適応すんのは無理。中～重量級ウォーハイドラを
　推進器である程度無理やり飛ばして重装甲に任せて接近、なんてまぁいいけどこのエネルギー開放の総合値は気狂いの類だし
　大体Gより戦闘機動に耐圧服着なきゃ機体の高圧時力でガッタガタじゃねぇか。
　着てもそれなんだし模擬線で付き合わされるワドーの身にもなれよ。」

隣のウォーハイドラハンガーではクワジャルと呼ばれた機体……
高速機動旋回型のミストエンジン駆動格闘機が整備を受けている。
殆ど無傷の姿で。

私の機体は全て中佐のマシン・コンセプトへ似せようとしたセッティングを制御できず
過負荷で自壊させてしまっていた。
そのパイロットのヒゲ男にもずいぶん渋い顔をされた。
これで数度目かの模擬戦の後だからというわけではないことはわかっている。

「とにかくこれは今のアンタじゃ無理だな。ある程度それにあうようセッティングはしておく。
　要塞攻略戦も近いし、何が起こるかわからない残像領域で
　勝手にぶっつぶれたらたまらんしな」

私の敵はあんなバイオ兵器ではない。
私の敵はあの女だ、あの女を倒すために機体は中佐に近づけなければならない
そう反論しようにも言葉がでない。

私はそのまま意識をすべり落すように失った。

我々アフラムインダシトリィは
企業都市キルガールを拠点にする企業ユニオンです。
歴史は古く自由都市時代からの重工業産業の組合を基としており
現在は企業年として軍需重工業を中心に各種ウォーハイドラの武装、また装甲兵器の生産を行っております。
当領域等には現地での需要調査、およびウォーハイドラパーツの研究開発試験
並びに販売を目的として今回は参入させていただいております。
どうぞよろしく。

■今回のお知らせ。　[第１７週]
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
今週はバイオスフェア要塞攻略戦。皆様よりよいご検討を。
また研究素材が見つかりましたら当社の研究班まで…