ENo.0013　ロコ・シュタール

先日は酷い目に遭った。

あのバイオコクーンとかいうやつ。後から聞いてみるとそこまで苦戦していない戦場が多かったみたいだけど……
俺たちの所は全滅は辛うじて免れたものの、かなり甚大な被害が出ていた。

相手があまり目立って行動していなかったはずの俺を目敏く見つけて狙ってきたのにも驚いたけど、それよりも酒場のあの二人がやられた時はかなり焦った。あの二人がいるなら多分大丈夫だろう、と慢心していたから尚更だ。

目の前で酒飲み仲間を失うのは――ここにきた当初ならともかく、今の俺だったら多少の後悔なり何なりはしていたかもしれない。…これ以上は想像したくないな。
二人とも無事、では済んでいないようにしか見えないけど、ともあれ一緒に生還することができたのが幸いだ。


で、俺はあれでも比較的軽い傷で済んだから一足先に自由の身になれたわけだけど。入院なんて何年振りだっただろうか。
寝ている間、すごく酒が恋しかった。――いや、恋しかっただけで飲んではいないよ？　はは、流石にああいう施設でレギュレーション違反は……　


まぁ、そんなことはともかく。
また全員揃ってあの場所で杯を交わせることを、今はただ、楽しみにしていよう。

生き残った者達へ。
これから往く者達へ。
私たちは歌おう、今日この日があることを。
私たちは祝おう、今日この身があることを。

全ての生きとし生けるもの達へ。
健やかに、でもなく。末永く、でもなく。
ただただ只管満足な生と、満足な死が迎えられるように。

乾杯。