ENo.0261　Solitus

――極秘任務なんて、どんどん面倒なことに巻き込まれている気がする。

カナエがソリトゥスに積み込めそうなパーツをマーケットで探している間、ソリトゥスと共に彼の帰りを待っているソーナは先日届いたメッセージを勝手に再生しながら、ぼんやりとそんなことを考えた。
バイオスフェア要塞攻略戦が終わったと思ったら間髪入れずに与えられた極秘任務。
次なる要塞、ストラトスフェア要塞へ向かってくれとのことだが――どうにも、嫌な予感というか、奇妙な気配がする。
どんどん面倒なことへ巻き込まれて、どんどん戻れない領域へ沈んでいっているような――そんな、漠然とした不安のような奇妙な予感。

もちろん、カナエはそれすらも楽しみ、笑い飛ばすのだろうが。

「……なんとも、ないといいんだけど……。……ね、ソリトゥス」

自分が今、腰掛けているソリトゥスの背中をそっと撫でると、返事をするようにモニターの光がわずかに点滅する。
もし、カナエが後戻りできないくらいに沈み込んでしまったら、自分はどうするべきなのだろう。
その腕を掴んで引き上げればいいのだろうか、彼が元の道へ戻ってこれるように道を示せばいいのだろうか――ソーナにはよくわからない。

だけど、叶うなら。
叶うなら、そのときはカナエと一緒に行き着くところまで行きたいと思うのは――いけないことだろうか。

「おーい、ソナー。ソリトゥスー」

思考の海に沈みかけていたところで聞こえたカナエの声に反応して顔を上げ、そっと端末を荷物の中に隠す。
声が聞こえたほうへ目を向ければカナエと目が合い、ソーナは口元に微かに笑みを浮かべた。

「……おかえり、テイ。パーツ、あった？」
「いいや、ソリトゥスに積み込めそうなものはなかった。今回は俺とソナで新しく作るだけにしておこうか」

カナエの言葉に素直に頷いて、共にソリトゥスへ乗り込む。
――ああ、どうか最後の最後まで、彼の隣で共にあれますように。