ENo.0071　パアム・ライザ

やはり、事は単純には運ばなかった。
事態は予想以上の方向へと進んでいたのだ。
ナノマシン群がグルコースを燃料としているという仮説は、ある意味で正しかった。

正確には、全ての有機体を燃料としている、といった方が正しかった。
「彼ら」は特殊な消化酵素とも言える複製ナノマシンを自家合成し、それによって寄生体、
……つまり、有機体から食物を合成していたのだ。

無論それは、全く想定されていないどころか、設計段階にも無い仕様だった。
彼らは自己を進化させたのだ。人工知能が人の数百倍とも言える処理速度で、数万倍以上の経験を積むことで、
独自の思考パターンを手に入れるように、このナノマシン群も、人の、生命の、何万倍もの速度で、自らを進化させた。
そう結論付けるしかなかった。


私は悩んだ。これは廃棄すべき事案ではないかと。
今現在、このナノマシン群はロボットの外殻を利用し、人の操作を受け付けずとも、
自力で動き、行動するだけの性能と知能を持っている。

それこそ、最悪の事態を想像しなければならないのではないかと。


そんなことを考えていたある日のこと。娘が……ライザ研究員が、ある報告を上げてきた。

ナノマシン群とのコミュニケーションに成功致しました、と。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━

「……おい、大丈夫か？」

「……大丈夫に見えますか」

ここの所、私は食事と出撃の時以外は、ずっと寝込んでいた。
機体整備や装備の更新などは全て代理人やプレディに任せ、ひたすらベッドの上で英気を養っていたのだ。

先日遭遇した大型バイオ兵器から放たれた霊障攻撃。
不可思議な力場によって、コックピットごとひねり潰されたのだ。

幸い、脳や主要な臓器は無傷、あるいは軽度の損傷で済み、命に別状はなかったが、
それでも、身体を動かすのが大分しんどかった。

しかし今、ベッドでずっと身体を動かさず、安静にしているのも大分しんどい。

何せ生身だった部分がやられてしまったのだ。
暇つぶしに本を読むのも最初は楽しかったが、その内読める本を全て読んでしまい、
新しく本を買いに行こうとしても激痛が走るため、買いに行くのがしんどい。

出撃は殆どプレディ任せ。操縦自体は脊髄直結によるもので、極論脳だけがあれば大丈夫だが、
細かい姿勢制御やセンサー類の切り替えなど、プレディに操作を代行している部分がどうしても遅延する。

そろそろ身体は治る頃だろう。ようやくこのしんどさからも解放されると考えると、今日の出撃が一段と楽しみになってくるのだ。

言葉はわからなくても作るものなら心は通じる。
そういう人たちの組織がここ「グロッソラリア」
制御とか整備が好きな人はおいでください。
どちらか一方だけでも結構！
作れ作れ！

※ユニオン活動は制御２　整備３です。
RPとかはするかもしれません