ENo.0235　マルス・H・アテナ

夫は言葉を失った。父は嘆いた。
残像領域になんて行かせるんじゃなかったと。
それでも私は、保育器の中でたくさんの管に繋がれた娘から、片時も離れることはできなかった。

罪の意識だったのかもしれない。
長くは生きれないと医者は言った。
それも数年ではない。数ヶ月。生きれるとしてもこの狭い保育器の中でだけだ。

「二人目を生むのは無理でしょう。あなたの体は、もう子を成せるような状態ではありません」

私は考えた。考えて考えて考えた。悩んで悩んで悩んだ。
ハイドラを設計する時でも、こんなに頭を使うことはないというほど、脳を思考をフルに働かせた。
死なせたほうが楽ではないのか。そんな声が聞こえたこともあった。
でも私は絶対に彼女を、娘を生かしてあげたかった。
どんな形でも良い。生きて欲しかった。

部屋であらゆるデータを調べた。書庫であらゆる本を引っ張り出した。
それでも娘を助けられる手がかりは見つからない。

無情にも、非情にも。時間だけが過ぎていく。

「お母さん……私…もう何も失いたくないのよ…どうしたらいいの」
私は幼少期の頃のアルバムを開いて。
悲しみ、怒り、悔しさ、寂しさ。ずっと堪えていた感情が溢れ出した。
アルバムは母が亡くなってから父がずっと隠していたものだった。映像の記録以外で、母親が写っているのはこのアルバムだけだった。

生まれたばかりの私を抱く、母の笑顔。
母は私にそっくりだった。年を取ってから余計に実感する。
今はその笑顔が余計に胸を締め付けた。

その写真をアルバムから取り出そうとして、手が止まった。
「……何…これ」
写真の裏に貼り付けられた、一枚のメモリーカード。
そして、隣に書かれた「ルキナへ」の文字。

すぐにカードの中身を確認しようとしたが、画面にパスワードの要求が表示されて私は唇を噛み締めた。
「……お母さん。私に、何か伝えようとしてるの…？」
パスワードを解読する必要なんてなかった。
私は、思いついた文字をそのまま打ち込んだ。

[ LUCINA ]

「……これって……」
開かれたデータに記録されていたのは、一つの研究についての資料。
"ヒトの全身義体化"についての、記録だった。

荒れた丘陵地に住み着いた子どもたちが、夜な夜な的を立てている。
ハイドラライダーは各自が利用料を払って訓練に使用している

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ユニオン活動：射撃*5 固定
ユニオン購入：経験値+1
ロールプレイ：やる気なし
参加脱退：自由（先着