ENo.0076　マリエッタ

墜ちる。
あと少しで手の届きそうな空から真っ逆さまに　堕ちる。

　　　　「……ああ、でも、これで」


☆+☆+☆+☆+☆+☆+☆+☆+☆

なんて都合良くいくはずもないわけで。
目を覚ませば僕はいつもの寝床。

……。

ここに来て、戦場に出て、初めて墜ちた。墜とされた。
逝きたかった空に手が届きそうで、全く届かなくて。

「躱したと、思ったんだけれどなぁ。」

掠れた声で呟いて。
正直、機体が損傷してからどうやって撤退したのか、それとも誰かが運んでくれたのかとか
全く記憶になかった。
だから自力で戻って来たのかもしれないし、戦闘が終わった後、あいつが回収してくれたのかもしれないし。
戦闘からどのくらい時間が経過しているのとか、自分はどのくらい休んでしまっているのかとか。

兎に角、気が付けば『今』なのだ。

取り敢えず起きなければいけない。起きて機体の整備をしなければ。
身体を動かそうとすれば、全身に痛みが走る。

　　　　「…………ああ、今日も“生きてるなぁ”」



☆+☆+☆+☆+☆+☆+☆+☆+☆


何をどうやっても、まだあいつと同じ場所には立てないらしい。
その“ゴール”は目の前にあるようでとても遠くて。
掴む事が出来ない。触れる事すらできない。

……僕の旅＜人生＞はまだまだ続く。